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偽マフティーとなってしまった。

作者:連邦士官
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3-13話

『大尉!大変だ!エンジェル・ハイロゥが降下を始めている!これではアクシズが落ちたような衝撃が地球を襲うぞ!』

 ブライト!なんでなんだよ!締めに入ってただろうが!もう休ませてくれよ!だからそうやって眉細フケ顔モブ顔何だお前は!言い過ぎたな。すまない。

『大尉!計算上、エンジェル・ハイロゥは地球のオーストラリア、シドニー跡地に降下している!この質量ではオーストラリアの半分が物理的に消滅してしまう!!ケネス、どこに行く!?』

「エンジェル・ハイロゥが‥‥だがあれらは‥‥。」
 緑の光を醸し出している。あれに触れればアクシズ・ショックが再び起こることを予感させている。触れるわけには行かないが‥‥。

 悩んでいる間に高速でクスィーがやってきてエンジェル・ハイロゥを押す。誰だお前は!

『マフティー!私はずっとマフティーになりたかった!しかし、マフティーにはなれなかった。そんな自分を恥じた。だから、お前と決別した。それがマフティーと離れて己のマフティー性を確かめる手段だったからだ。だが、お前はマフティーを示した。なら、俺はマフティーに成るためにマフティーとして押す。今はあの軟弱なパイロットは居ない。マフティー、お前ならこんな時なんと言うんだろうな。今はどんな気持ちなんだ?私は、いや、俺こそがマフティー・ツヴァイ!違うな!俺がマフティー・ナビーユ・エリンだ!』
 いきなりマフティーとは、ついに頭がおかしくなってとち狂ってお友達になりに来たのか!ツヴァイ!マフティーマフティー、うるせえ!頭シュラン・オペルか頭ギルベルトかよ。キモ眼鏡とクソ眼鏡はこの世界では輸出禁止物扱いされているので、輪廻転生してどっかの理想のフロンティアに行ってくれないか?

「ツヴァイ!よせ!いくらクスィーの推進力といえどもその機体では!アクシズ・ショックは何度も起こらない!起こらないからこそ奇跡なんだ!」
 そう叫ぶより早く、ボッシュのペーネロペーがエンジェル・ハイロゥを押す。何なんだコイツらは!

『これで虹の向こうを見れるなら押す価値はある!そうでしょう?大尉!だから、やってみせろよ!ガンダム!人の作った悪魔なら人の作った神!デウス・エクス・マキナにだってなれるはずだ!』
 ガンダムはどっちかというとデウス・エクス・マキナよりマキマに近い存在な気がするが。反骨の精神と支配の象徴にして自由の象徴。自由?だからフリーダムガンダムだったのか?

『たはっ!俺らも死んだ身だから押させてもらうぜ!どうせもう死ぬだけの爺だからな!それにやっとガンダムに乗れたんだ!』
 その声はモンシア!でもそのヘイズル・ラーもどきはジェガンかジェスタを素体にしてヘイズルパーツとゼータヘッドとGディフェンサーを違法搭載しただけだからガンダムじゃない気がするけど。

『ケネス・スレッグ!発進する!俺もようやく押せるときが来たんだ!押させてもらうさ!』
 ケネスも来ている!?そして続々とオープンチャンネルでつぎつぎにパイロットが押していく。

 が、まだ足りない。
『やっと気が付いたんですよ。マフティーっていうのが何なのかを。あなたにあのハウンゼンでマフティーを聞いた意味を。ハサウェイ・ノア!いや、俺が武装マフティーだ!罪や罰は後だ!エンジェル・ハイロゥ!押させてもらう!虹は乗るものじゃない!マフティーも成るものじゃない!虹とマフティーはあり方だったんだ!』
 ハサウェイがエンジェル・ハイロゥを押すと自然とバナージ達も押す、そして。

『コウ・ウラキ!吶喊します!』
『オリヴァー・マイ!参加する!計算上は無理だとわかってもこれは人類の、いや、人の叡智の戦いなんだ!』
『見ているかシロッコ!これが人類の感情の力なんだ!大尉!先に押させてもらいますよ!』
『カミーユさん!俺も行きますよ!人は嫌いになったけど、やっぱり人が好きなんだな俺。』
『ミシェル!リタ!俺も押すよ。だから、謝らせてくれ許してくれ、そして‥‥いや、もう許してくれていたのか。やっぱり俺はバカだったんだな。辛かったけどこんなに嬉しいことはないよ。』
『宇宙が蒼い。』
 まともに話せよユウ・カジマ。なんかそんな場面だろ。おかしいのは俺なのか?

『貴方は何がしたいの?』
 黙れ、リタ!そんなんだからフェネクス憑き悪霊やってるんだよ。打算でヨナやミシェルを操って、あぁいう風にして楽しかったか?死は救済でもなければ償いでもない。死ぬのなら生きている人間に謝ってから死ぬべきだったんだよ。機械人形め!

 アクシズ、袖付き、ジオン残党にネオ・ジオン、地球連邦にティターンズ、エゥーゴ、ヌーベルエゥーゴ、ニューディサイズ、ジオン共和国兵、あれはA.G.E.か?旧式のボールやジムにジムII、旧ザクやザクIIにハイザック、SFSでも押すものやドラッツェやギャンやらゲルググの派生機にゼーゴック!?なんでお前がいる!?

『遅れたなブライト。ミライは元気か?いや、気にするな、やってみたかったんだよ。あのときのあの光景。あそこに私もブライトも見ただろ。人の可能性というのを。元々、二人とも終身刑だろ?』
 カムラン・ブルーム!!お前、そのバーミンガム級どこから持ってきた!?そして、地球から続々と上昇してくるサラミスやマゼランの艦隊、そして、エンジェル・ハイロゥにビームを撃ってから大気圏離脱ブースターをつけた地球連邦艦隊がエンジェル・ハイロゥを押す。確かに地球連邦軍の監査長官にしたが、そんな事をなんで!?

『そうだな、カムラン。すまんがみんなの命をくれ。総員、志願者のみで構わない。このラー・カイラム級でエンジェル・ハイロゥを押す!すまないな。』
 はぁ?なんなんだよこいつら。どんだけ……アクシズ・ショックで頭がどうにかなってるんじゃ。

『これが、これこそが私とジョージ・ジョンソンが見たかった景色なんだ!』
 ジャックがフルサイコフレームクスィーでエンジェル・ハイロゥを押す。そして、フェネクスも押している。サイコフレームが大量にあるせいか、緑の光が帯になりつつある。

『貴方がシャア・アズナブルでなくても、フル・フロンタルであっても関係ありません!押すのを手伝ってくれないのですか!』
 ラー・カイラム級からの通信で入ってくるミネバの声。しかし、俺は参加する資格はあるのか?単なる一般人で宇宙世紀の人間じゃないのに。

『軟弱者!早くやりなさい!だから、貴方はここにいるのでしょうに!』
 セイラまで言ってくる。なんで俺はここにいるんだ?

『そうまでしてやらなくてもいい。他人に強制されてやるべきことじゃない。』『エンジェル・ハイロゥを押し返してアクシズ・ショックを再現したところで何になる?また同じ事になるだけだ。』
 アムロやシャアの声が聞こえた気がした。

 俺は‥‥。俺は誰なんだ?肥田なのか?ミハイルなのか?それとも‥‥。

「俺が言い始めた嘘ならば!誰が貫き通すんだ!私がマフティー・ナビーユ・エリン大尉だ!一度始めたのなら最後までやらないとな!それがマフティーなんだろ。いや、マフティーであるべきなんだ。ニュータイプもオールドタイプもない!旧式も新型もない!今ここにすべてが戦っている!これこそが、この結果こそがガンダムなのか!」
 気分が高揚して意味不明なことを言ってしまったが誰も聞いていないだろう。これこそが戦いの中で戦いを忘れるということなのか!?わからないが、わからないからこそ今こうして立っているんだ。

『これがニュータイプの革新‥‥愚民に叡智を授けたのか!あの通信はやはり真理だったのか!』
 誰だ、その額刺されララァ、マミー、ナナイは間に入ってくるな情けないモビルスーツ煽り逆襲ネタ芸人のたまに逆襲したあとにグラサンをかけて戻ってくる、ハマーンのプレシャーに押し負けるメガ・バズーカ・ランチャー外しハマーン本人の前では強気になるアクシズを引き取った時にアクシズに隠されていたシャア専用シリーズを見て引いてそうな、同族嫌悪ファザコン、マザコン、ブラコン、シスコン、ファミリーコンプレックスフルコンボレスバ雑魚おじさんみたいな語り口は。

「サイコフレーム!お前は人間が作ったものなんだろ。いや、人間にお前が作らせたんだろ。なら、人間が居なくなればサイコフレーム、お前もいなくなるということだ。お前が増えるためには人間が必要なんだ。生き物のように意思を持つのかは知らないが、お前は欠陥品だ。生物のように単独による生殖や分裂で増えるわけでもない。どれも人間が必要なんだ。ニュータイプとサイコフレームは雌と雄なんてものでもない。0と1ぐらい違う。プラスとマイナスほどにもだ!ならサイコフレームが力を発して増えるには人間が必要なんだ。人間には地球が必要だ!地球が母なる惑星であり、それが生み出した生き物が人間だ!」
 一気に加速してゼク・ツヴァイもどきの奥の手と言われていたボタンを押す。蓄えられていたミノフスキー粒子などが放出される。これはもしやSEシステム!?それにこの粒子の奔流はまるで太陽炉のような‥‥もういい、無視して進もう。

 「人間に作られたのか作らせたのかは知らないが、サイコフレームを人間がこの世界に生み出した。つまり、お前は地球の孫にあたる。いや、地球を育む一種の命なんだ!それがこうしてまた戦う!この戦いは存続の意志なんだ!」
 光を放つ機体でエンジェル・ハイロゥを押す。ミノフスキー粒子濃度が100%を計測する。艦隊などからもミノフスキー粒子が放出される。緑の粒子があたりを包み、サイコフレームが輝き出す。ミノフスキー粒子はサイコフレームの媒体だったのか?それはいい、今はエンジェル・ハイロゥを押す。

 エンジェル・ハイロゥもより光る。これは地球は滅びたほうがいいという意志かもしれない。対してこっちは地球は滅びないほうがいいという意志、絶望と希望の争い。人類に絶望している人間ほど地球は滅びたほうがいいとエンジェル・ハイロゥを支持する。人間に希望があるほどエンジェル・ハイロゥを押し上げる。アクシズ・ショックほど押し返す力が集まらないのは、それだけシャアの反乱のあとに人類は絶望に包まれていた、またはテロや政府の弾圧にあった人間の負の感情が増大しているのかもしれない。光が強ければ強いほど影は濃くなるというものだ。

 これが影だ。影と光の戦いなんだ。どれが光なのかは関係ないが、人の意志はこんなことも越えられるはずだ。人は常に‥‥。

「いくらの困難も!いくつもの苦難も越えてきたはずだ!苦難は、人類に与えられた七難八苦はこんな簡単なものだけではない!たかがコロニーもどきに過ぎない。それがオーストラリアに落ちる程度の話だ!単なる質量では人の希望を奪えはしない!人の意思を縛れはしない!人の可能性を変えることはできない!」
 光の奔流が地球を包み込む、バラバラになったサイコフレームの破片が回り始める、大量の破片が流星群のようにぐるぐると回り、グロムリン・フォズィルの残骸が動き、それすらもエンジェル・ハイロゥを押す。

『虹はこんなにも暖かい!これが人の優しさ、人の心なんだ。』
 ジェガンだと思われる機体から声が聞こえた気がした。エンジェル・ハイロゥで繋がっているからなのか、この緑の光のせいなのかは知らない。が、名前も知らない描写もされないような人間だって生きている。こうやって‥‥いや、名前も知られない人間のほうが多く押している。これが名前を知らない人間が宇宙世紀を、いや、世界を支えているってことなのか?
 
 サイコフレームを使っている機体がすべて緑に輝く。緑に染まった機体とエンジェル・ハイロゥ、サラミス、マゼラン、ラー・カイラム、レウルーラやムサイなど、集まった艦艇も緑に染まる。更に地球からコロンブス級まで上がってきて押し上げる。重力にぎりぎりエンジェル・ハイロゥが捉われるかどうかのラインで食い止める。

「まだだ!まだ終わらんよ!」
 もう一度リミッターを解除する。また危機を伝えるアラームが鳴り響く。知るか!

 脳内に響く声がした『頑張りなさい。僕の想定を超えているが黒歴史すら乗り越えて、人が人である為に。』誰だ。これは、なぜだか知らないが機体にミノフスキー粒子が絡みつく。ミノフスキー粒子の計測器が100%より上昇する、ありえない!

 徐々に発光する様々なモビルスーツ達、そしてエンジェル・ハイロゥは押し上げられていく。その中でサラミスやマゼラン、旧式のモビルスーツがエンジェル・ハイロゥの重みに耐えられずに爆散していく。これはもうサイコフレーム搭載機だけで十分だと頭で理解した。

「もう十分だ!もうこんなことはやらなくていい。責任を持つのは一部だけでいいはずだ!」
 だからバナージ達は残れよ。

『大統領が残っているのなら地球連邦市民は残らないといけない。間違いないですよ。』
 おそらく袖付きのギラ・ズールから声が出てきて同様の声が各機体から上がった。そして、次々に爆散する機体や艦艇、その数に比例するように地球から引き剥がされるエンジェル・ハイロゥ。

 エンジェル・ハイロゥはその行き先を外宇宙へと進めた。





 
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