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人間の言葉もよくわかる

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第二章

「犬とか猫も同じだよ」
「他の生きものもよね」
「意地悪だって嫌いだしな」 
 洋介はさらに言った。
「暴力なんてもっとだよ」
「それならね」
「ああ、悪いことなんて言うか」 
 母に強い声で返した。
「罵ったり馬鹿にしたりな」
「そうしたことは言わないことよ」
「学校の先生みたいにだな」
「学校の先生そうした人多いけれどね」 
 日本の教育の問題点も話した。
「いい鉄は釘にならなくてね」
「いい人は学校の先生にならないよな」
「ヤクザ屋さんと同じよ」
 学校の教師達の一部はというのだ。
「そんな人が多いでしょ」
「皆が皆そうじゃないけれどな」
「他に行くところがない様な」
 人格も能力もあまりにも劣悪な為にだ。
「そうした先生がいるけれど」
「俺はならないからな」
 絶対にというのだった。
「間違ってもな」
「じゃあそのままね」
「ああ、そんな奴にならないからな」
「そうしていってね」
「何があってもな」
 洋介は確かな声で答えた、そうしてだった。
 ふわりに悪いことは言わない様にしていった、するとふわりは彼によく懐いて親しんできた。洋介もそんなふわりを見て前以上に可愛がった。
 それでだ、彼は母に言った。
「悪いことを言わないだけでな」
「全く違うでしょ」
「ああ、ふわりはそれだけでな」
「懐いてくれるわね」
「犬も本当にな」
「人の言葉がよくわかってね」
「ふわりみたいに頭がいい娘は特にな」
 そのふわりの頭を撫でつつ話した。
「わかって」
「それでよ」
「慕ってくれるんだな」
「そうよ、いい言葉をかけたらね」
 そうすればというのだ。
「その時はね」
「慕ってくれて」
「懐いてくれるのよ」
「そうだな、じゃあ尚更な」
「ふわりに悪いこと言わないわね」
「他の誰にもな」
「そうしなさい、誰にとってもいいことよ」
 息子に微笑んで告げた。
「あんたも好かれるしね」
「全くだな、そうしていくな」
 こう言ってそうしてだった。
 洋介はふわりにも他の誰にも悪いことを言わない様にしていった、するとこれまで以上に誰からも好かれた。その中にふわりもいることは言うまでもなかった。


人間の言葉もよくわかる   完


                   2024・4・24 
 

 
後書き

  
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