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金木犀の許嫁

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第十四話 真田家の人その九

「もうご家族もね」
「おられたの」
「それで大坂の陣の後にね」
「薩摩になの」
「移っていたかもね」
「だったら私達も」
「佐助様達に何かあっても」
 大坂の陣でというのだ。
「生きていたかもね」
「そうかも知れないのね」
「家系図は残ってるわ」 
 真昼はこれはと話した。
「ちゃんとね」
「そうなのね」
「幸村様も十勇士それぞれの方のね」
「それは残ってるのね」
「けれど佐助様達が大坂の陣の時それぞれお幾つか」
 年齢はというのだ。
「それで何時結婚されてお子さんが生まれたか」
「そうしたことはわからないのね」
「四百円以上前だしね」 
 それだけの歳月があったというのだ。
「だからね」
「わからないのね」
「ええ」
 そうだとだ、夜空に答えた。
「そこまではね」
「そうなのね」
「だから若しかしたら」
「佐助様が大坂の陣で戦死されていても」
「それでもね」
「私達はこうしてここにいるかも知れないのね」
「そうかもね」
 こう言うのだった。
「その辺りはよくわからないけれど」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
 それでもとだ、真昼は話した。
「その辺りはよくはね」
「わからないのね」
「家系図に何時生まれたかは」
 そうしたことはというのだ。
「その頃は書かれてなかったし」
「それじゃあなのね」
「よくわからないわ」
「そうなのね」
「ええ」
 そうだというのだ。
「どうもね」
「その辺りははっきりしないのね」
「どうしてもね」
「昔はそうなのね」
「家系さえわかればね」
 そうであればというのだ。
「よかったのがね」
「昔だったのね」
「生年月日はね」
 これはというのだ。
「昔はそんなものよ。その頃でも生年がはっきりしない人はね」
「いたのね」
「それが次第にね」
「はっきり書く様になったのね」
「二十世紀のアメリカでも生年はっきりしない人いるし」
「そうなの?」
「サチェル=ペイジっていう人は」
 アメリカの黒人リーグで活躍したピッチャーである、二千勝したとも還暦近くまで投げていたとも言われている。
「そうらしいし」
「そうなの」
「それじゃあ当時なんてね」
 蝦夷時代がはじまった様な頃はというのだ。 
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