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和楽器バンドは異端か

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第二章

「その伝統を守りつつ変えるんだ」
「いい方向にな」
「和楽器バンドはその一つの道だ」
「それを見せるだけだ、俺達は」
「歌って演奏してな」
 五人で言う、そしてだった。
 彼等はステージで歌いユーチューブでも動画を流しCDも売っていた。得光や与根輔は相手していなかった。
 するとだ、多くの者がこう言った。
「得光や与根輔の言う伝統って何だ?」
「和楽器バンドいいだろ」
「着物をアレンジしてもな」
「大体音楽も服も時代によって変わるだろ」
「何時の時代の伝統なんだよ」
「あいつ等の言う伝統って何だよ」 
 巷やネットで話すのだった。
「日本の歴史って長いぞ」
「飛鳥時代と江戸時代全く違うぞ」
「着物なんて平安時代ないぞ」
「武家政権だって鎌倉時代からだぞ」
「明治から洋服も入ってるだろ」
「料理なんてもっと変わってるぞ」
「片仮名や平仮名だって最初なかったぞ」
 こう話されるのだった、その話は得光や与根輔はテレビで言われたが激怒して言った。
「そんなの関係あるか」
「そうですよ、伝統は伝統ですよ」
「千秋何とやらの何処に伝統があるんだ」
「大体クラシックとかが本当の音楽だよ」
「おい、クラシックは欧州の音楽だろ」
 ネットで瞬時に突っ込みが入った。
「何言ってんだこいつ等」
「日本の伝統じゃないだろ」
「しかも得光ってマリア=カラス知らなかったよな」
「カラヤンがニーベルングの指輪全曲盤出してることもな」
「与根輔がモーツァルトとかベートーベン言ったことあるか?」
「音楽って私を野球に連れてってしか知らないだろ」
「っていうか何が私を野球に連れてってだよ」
 与根輔が寄席に出る時の音楽の話もした。
「あいつの頭にあるの巨人だけだろ」
「得光もな」
「あいつ等の野球って巨人だけだろ」
「その巨人昨日で二十五連敗したよな」
「中日に今シーズン二度目の完全試合負けくらってな」
「それも二十点取られてエラー五つもしてな」
「俺達にとってはメシウマ試合だったな」
 その巨人の話も為された。
「何時まで巨人だよ」
「もう巨人の時代なんて終わってるんだよ」
「音楽の伝統もないんだよ」
「日本のそれも変わるんだよ」
「というか伝統言う前にお前等のマナー何だよ」
 ここである者がだった。
 彼等の歌舞伎町での姿をネットに出した、バーで飲んで全裸になって偉そうにくだを巻いているその姿を。
 この姿は一瞬でネットに出回り祭りになった。
「日本の伝統ってこれかよ」
「笑うな、おい」
「店で全裸で偉そうに言うのかよ」
「服位着ろよ」
「最低だなこいつ等」
「こんな奴等が音楽とか伝統語るな」
「それ以前の問題だろ」
 こう言われてだった、出ている番組にスポンサーまで抗議がいき。
 与根輔の落語の時にだ、応援が来た。
「おい裸になるな!」
「落語の伝統に裸があるのかよ!」
「野球とか音楽以前だろ!」
「人としてのマナー守れ!」
 こう言われてだ、席を落語をする前にすごすごと逃げ去った、そして。 
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