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金木犀の許嫁

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第十四話 真田家の人その四

「そうした方言がね」
「きついから」
「だからね」
 それでというのだ。
「私もね」
「言うのね」
「そうよ」
 こう言うのだった。
「何よりもわかりにくいから」
「それで言うのね」
「若し二代目さん以降もね」
 神戸に入ってというのだ。
「薩摩弁のままだったら」
「大変だったわね」
「多分その頃の周りの人達もね」
「薩摩弁には困っていたのね」
「そうだったと思うから」
 だからだというのだ。
「本当にね」
「こっちの言葉に馴染んでよかったわね」
「まあ幸村さんの頃に戻ったって言ったら」
 関西に長くいた彼にというのだ。
「そうなるかしら」
「関西におられたから」
「それならね」
「そうなのね」
「ええ、けれどね」
 それでもというのだ。
「薩摩弁だったことはね」
「江戸時代の間と維新の頃は」
「わかってね」
「ええ、薩摩ね」
「鹿児島県ね」
 真昼はその県の話もした。
「あそこよ、私達のルーツにはね」
「その一つにはなってるわね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「あちらもね」
「それで前に旅行も行ったのね」
「一家でね、そのお話もしたでしょ」
「お父さんとお母さんがね」
「私達はそうなのよ」
 猿飛家、分家とはいえこの家の者達はというのだ。
「実はね」
「そうしたルーツなのね」
「そうなの」
 こう言うのだった。
「伊予、愛媛からね」
「信濃、長野に行って」
「かなり関西にいて」
「薩摩に逃れて」
「神戸に来てね」
「今に至るのね」
「四百年以上かけて」
 そのうえでというのだ。
「そうしてきたのよ」
「放浪?」
「そこまでいかないでしょ」
 真昼は夜空の今の言葉は否定した。
「四百年以上かけてでお家もあったし」
「それじゃあなのね」
「放浪とはね」
 それはというのだ。
「言わないわ」
「そうなのね」
「ええ、ただね」
 それでもというのだ。
「移り変わってはね」
「いるのね」
「ええ、ただ薩摩にいた時代がね」
「二百語十年近くだから」
「相当ね、幕末の頃には」 
 薩摩藩が倒幕に動いたこの頃はというのだ、この頃に西郷隆盛や大久保利通が出て来て活躍しだしたのだ。 
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