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星河の覇皇

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第八十六部第三章 学園の理事長としてその四

「ありましたね」
「そうだったが」
 それでもというのだ。
「大カトーはローマに固執するあまりにだ」
「ローマの改革を遅らせる要因を作ったのですね」
「そうなる、彼はローマは永遠に古いローマであって欲しいと思っていた」
「心からそう願っていましたね」
「まさにな、しかし国は時代と共に変わるものだ」
 八条は強い声で言った。
「領土や人口、文明のレベルに合わせてな」
「それは連合もですね」
「連合は分権国家、民主主義であることは変わっていない」
 この二つのことはというのだ。
「千年の間な、だが」
「それでもですね」
「今の連合と千年前の連合は同じ国であるが」
 それでもというのだ。
「全く違う国になっている」
「国として変わっていますね」
「我が国はそれで失敗もしている」
 日本もというのだ。
「徳川幕府がな」
「あの政権ですね」
「江戸に幕府を開いた時は十七世紀のはじまりだった」
 一六〇三年である。
「そしてそれからだ」
「二百六十四年続きました」
「その間日本は随分変わった」
「産業も文化も発展し」
 由良はその江戸時代の日本の話をした。
「二度も庶民文化が栄え」
「元禄と文化、文政でな」
 前者を元禄文化、後者を化政文化と呼ぶ。
「そして農作物も変わった」
「技術も」
「日本はかなり発展したが」
「幕府はそのままの姿でした」
「その為幕末には化石になっていた」
 ペリーの黒船が来た時にはというのだ。
「そして大政奉還でその歴史を終えた」
「はじまりの頃は問題がなくとも」
「二百数十年同じではな」
「やはり統治に支障が出ますね」
「そうなった、やはり国家システムは常にだ」
「チェックしてですね」
「守るべきところは守るべきだが」
 しかしというのだ。
「変えるべきところはだ」
「変えるべきですね」
「そこが大事だ」
 こう由良に話した。
「おかしなところにこだわるとな」
「そこから失敗しますね」
「そうだ、だからだ」
「大カトーはそこを失敗した」
「流石に将来、一世紀先なぞそうそう読めないが」
「彼はローマの改革の障害になった」
 その原因を作ったというのだ。
「それが問題だった」
「そういうことですね」
「確かに愛国者であり生真面目でかつ優れた政治家だったが」
 こうしたことは事実でもというのだ。
「禍根を残した」
「このことは事実ですね」
「だから私もこう言う」
「そうですか」
「大カトーについてな」
「お好きでないと」
「ただ、敵は大きくなる前に叩く」
 八条はこのことについてまた言った。 
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