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魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

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本編
  三十一話~決着――スカリエッティアジト

side フェイト


スカリエッティが近づいて来る。AMFを発生させる魔力糸の影響で魔法が使えない。


「どうかね?衛宮士郎とクー・フーリンの対策に完成させた最新のAMFは?魔法がほぼ使えないだろう?」


悔しいがスカリエッティの言う通りだ。魔法が使えないだけで、何て無力……


(諦めんのか?)


諦めたくない。ここまで来たのに……!ずっと、ずっと探し続けてきたのに!
だけど、私は無力だ……


(力があるかないかじゃねえだろ?お前はどうしたいんだよ?)


私は……スカリエッティを捕まえて、然るべき手段を用いて罪を償わせたい。
でも、どうしようもない………


(おいおい、弱気だな?いつもの威勢はどこいった?人のことスケベとか言いながら追いかけ回してるやつの発言とは思えねえな)


……そんなこといわれても、どうすればいいの?


(お前の道を行けばいい。迷ったら俺を頼れ。エリオやキャロもついてる。お前は一人じゃねえんだぞ?)


いいのかな?迷惑じゃない?


(わけわかんねーこと言ってんじゃねえよ。生涯一人とかアホなことやったのはどこぞのバカぐれーだぞ?普通は誰かに支えられて生きてるんだ。それでいいじゃねーか。どうしてもって言うなら俺がずっと傍にいてやるよ)


………今言う事?それ。……ほんと、ずるいんだから………


「さあ、君にはプロジェクトFの最初の成功例として私の夢の完成を見届けてもらおうか!」


スカリエッティは高笑いをしながら私を囲んでいた魔力糸で私の四肢を縛ろうとした……はずだった。
だが、その魔力糸は赤い閃光によって断ち切られた。


「何が!?」


スカリエッティは予想外の出来事にその閃光の出所を探しているようだ。
そして、私には確信があった。私を助けてくれた閃光の正体。それは……


「そいつはてめえみたいな野郎が触れていいような安い女じゃねえんだよ」


普段はおちゃらけているけど、なんだかんだで回りのことをしっかり見てて、さりげなく気を遣ってくれる。私の……惚れた男の人。


「さ、あとはお前の責任量だぜ?行ってきな」


衛宮ランス。彼はいつものような悪戯っぽい笑顔を私に向けてきた。




side トーレ


「ありえん……なんなんだ、あいつは………!!」


奴との戦いは一方的だった。明らかにレベルが違った。どんな攻撃も避けられ、いなされ、受け止める。
それでいて攻撃は槍で殴ってくるだけだった。突きを使われていたら勝負は一瞬だっただろう。
槍による打撃すら回避できなかったのだ。数多の武具の中でも最速を誇る槍の刺突など奴が行えば音速など簡単に超えるだろう。
その上で、多重にバインドで縛られ、


「引き取りを頼んだ奴が来るまで待ってろ」


と言って私たちを置いて奥へと進んでいった。
この屈辱、忘れんぞ……!!!




side スカリエッティ


「まさか、もう来たとはね」
「あ?あの程度の奴等で俺の足止めなんざできる分けねえだろ」


トーレたちをあの程度呼ばわりか……それに難なく私の特別製の魔力糸を切り裂くとはね。これは計算外だ。


「それに、てめーの相手は俺じゃないんでね」


彼は視線を横に移した。私もその方向を見ると、


「ライオット!」


どうやらフェイト君が切り札を出したようだ。だが、この状況下でどうすると言うのだ?
それに、君は精神攻撃に弱い……じっくりと攻めれば心が折れてしまうさ。母親と同じようにね。




side フェイト


出し惜しみしてる時ではない。覚悟は決めた。私は、戦う。


「Dr.ジェイル・スカリエッティ。あなたを、逮捕します」
「できるかな?その形態を展開するだけで息が上がっているように見えるぞ?」


スカリエッティの言っていることは確かにあっている。
それでもやるしかないんだ!私には、皆がついてるんだから。


「はぁっ!」


スカリエッティが右手から魔力糸を飛ばしてきた。それを切り裂く。
AMFの影響だろう。かなり魔力を持っていかれた。


「ふふふ、そんなペースではたして持つのかな?それに、ここの私を倒したところで、この事件は終わらないのだよ」
「どういう、事……?」
「私のコピーは、既に12人の戦闘機人の体内に仕込んである。この私が消えれば一か月もしないうちに同じ記憶を持ったジェイル・スカリエッティが生まれてくる、という事さ」


そんなことって……!


「くだらねえな」
「え……?」


不意に聞こえたランスの声。心底呆れたような声だった。


「ほう?どうしてだね?」
「そうまでして生きる意味がどこにある?人の人生はやり直しがきかねえからこそ輝くんだろうがよ」


スカリエッティはそれに対し、


「技術。知識。それらを求めて生きる事こそが理性を与えられた生き物としての幸福だろう?そのためにありとあらゆる手段を使って何が悪い?」


そう答える。


「ああそうかい。だったらもうてめーと話すことはねえよ」


ランスはそういって槍を消した。そして私に念話で、


(俺の魔力を少し持って行け。何だかわからねえが俺も自分で魔力生成が出来てるみてえなんだ。少しは足しになんだろ?)


自分の魔力を持っていくように言ってきた。
だが私は、


(ダメだよ。それだとランスが……)
(平気だって。それに、魔力結合が防止されてる今、なりふり構ってる場合じゃねえだろ?)


それは、そうだけど……


(つべこべいうな!心配だったらさっさとあいつを捕まえりゃいいだけの話だ!)
(うん……ありがとう)


ランスがこちらに来て、私の手を握る。そこから魔力が流れ込んできた。それにしても、手、大きいな………。


「ほう、魔力を渡したようだね。はたしてフェイト君で私を捕まえることが出来るのかな?」
「捕まえます。私()が。……真、ソニックフォーム」


私の真の切り札。バリアジャケットは最低限になり、バルディッシュは双剣状態になる。限界まで速度を極めたフォームだ。
だが、切り札だけあって魔力消費が多い。AMFのせいもあり、魔力刃を形成するだけで息が上がってしまう。
だが、


「フェイト。バルディッシュをこっちに向けろ」
「うん」


ランスが何か私の読めない文字ををバルディッシュに刻んだとたん、魔力消費が著しく減った。


「なにをしたの?」
「ちょっとしたおまじないだ。気にすんな」


これがなんなのか聞いたところできっと彼は教えてくれない。だから、今は目の前のことに全力を向けるだけ………!


「おやおや、どうやら君が手を貸したようだね、クー・フーリン」
「あ?んなこたぁどうでもいいだろ?これから捕まる奴にはよ」
「君相手ならまだしもフェイト君に捕まるなどありえんよ。一見冷静に見えても激情に身を任せてしまう母親似のフェイト君にはね」


普段の私なら絶対に食い掛かっていった。だが、今は隣にランスがいてくれる。それだけでとても心が穏やかになれた。私は、自分のしたいことを。やるべきことをやるだけだって。
………だが、あのAMF相手と言うのは分が悪い。これでは近づこうとすることさえ………待って。
それなら何で空間全体に張り巡らせない?今まで一度も姿を見せなかった男がそんな単純なことに気が付かないはずがない。という事は……


「どうした?かかってこないのかい?こうしている間にも君のお友達は私の作品たちに苦しめられているというのに?」


しないんじゃない。できないんだ。だから私がそのことに気が付かないように意図的に私から攻撃しに向かう様に仕向けようとしているんだ。
だとすれば………


「バルディッシュ!!」
[plasma lancer.]


床に向かって攻撃。これにより空中に粉塵が巻き上がる。要は目くらましだ。


「ほう、目くらましか。だが甘い!」


当然ながらスカリエッティは右手からパラボラアンテナ状に魔力糸を展開した。
私の予想通りに。
そして煙が張れると………


「おや。どこへ行ったかと思えば……離れただけか」
「……………」
「おやおや、だんまりかね?」
「………あの魔力糸は」


スカリエッティが眉をひそめる。


「魔力の事象への干渉を妨害するもの」
「!?」
「だから魔法が発動しない。でも物体に対しては効かない」
「………」
「それさえわかればこっちのものだ!!」
「だとしたらどうする?」
「こうする!!」


話し終えると同時に私は先ほど仕掛けておいたある物を引き寄せ、スカリエッティにぶつけた。


「なんだと!?」


スカリエッティは驚く。なぜなら私が彼にぶつけたのは双剣となったバルディッシュの片方だったのだから。


「ふ、まさかそんな奇策で来るとはね。予想できなかったよ」


バルディッシュをぶつけられたスカリエッティはそう呟いた。


「だが、君の攻撃は効かない。それはわかっているのだろう?」


確かにそうだ。だが、右手を封じれば勝機はある。


「さあ、どうする?このままいたちごっこを続けるのかい?」
「その必要は、ない!」


さっきバルディッシュを当てた時のスカリエッティの反応は、痛みを堪えているような感じだった。
恐らくランスがバルディッシュにした何かが影響しているんだろう。
それに、バルディッシュの魔力刃は先程からAMFの影響をほぼ受けていない。
他の魔法を使うと多大な影響を受けているにも関わらず、だ。
だったらとるべき手段はひとつ。
バルディッシュによる直接戦闘……!


「はあっ!」


魔力刃で斬りかかる。スカリエッティは魔力糸を出して受け止めるが、バルディッシュの魔力刃はそのまま魔力糸を切り裂く。


「な!?」


驚愕の声はスカリエッティのもの。私も多少は驚いたが、ここが攻め時。一気にたたみかける……!




side ランス


「やっぱそうか」


フェイトが押している。あれだけ苦戦していたのにバルディッシュ本体に“硬化”、魔力刃に“強化”のルーンをかけてやっただけでこれだ。
これで証明された。神秘を理解していないこの世界の人間ではあの状態のバルディッシュの魔力刃を消すことなんざ不可能だ。


「さて、ちゃっちゃと終わらせろよ?」




side フェイト


「これで、終わりだ。スカリエッティ!!」


渾身の一撃を真横から叩き込む。魔力刃で殴られたスカリエッティは壁に激突した。


「広域指名手配犯、ジェイル・スカリエッティ。貴方を、逮捕します」
「…………クックックッ」
「何がおかしいんですか?」
「ここはもうすぐ崩壊する」
「えっ!?」


最後の悪あがきか!


「私に何かあったら自動で発動「しねえぞ」……なに?」


今の今まで見ていただけだったランスがそう言いはなった。


「ヴェロッサにな、爆破装置は外に運び出させた」
「そんなことできるはずが!!」
「ない、って言い切れるか?今の自分を見てよ」
「………」


本当にいつの間にそんなことまで………


「お、噂をすればなんとやら、ヴェロッサからだな」


ランスが通信を繋いだ。


「よ!首尾はどうだ?」
「完璧だよ。君から渡された石のお陰で司令塔であろう戦闘機人も捕獲完了。爆破装置は僕の猟犬が運び出したよ」
「おう、ご苦労さん。報酬にこんどナンパの仕方でも教えてやるよ」
「あ、あははは……ま、こっちはそんなとこ。そっちは?」
「全部終わった」
「それは何より。それじゃ、入口で落ち合おう」


アコース査察官はそう言って通信を切った。


「んじゃ、帰るか」
「うん!」




side ゼスト


「ゼスト……おれは、」
「レジアス!!」


今回も、今回も遅すぎた!俺は、いつも……


「これで貴方の復讐は終わりですね」
「………」


せめて、お前の仇だけでも!!


……………………………………………………………


アギトが先程の騎士、シグナムと共にやって来た。


「これは……あなたが?」
「ああそうだ。俺がやった」
「旦那……」


俺は何を為した?何も出来てない。俺たちの正義は、何も……

 
 

 
後書き
更新にすんげー時間かかった………

の割りには内容薄いかもですが勘弁してください(゜Д゜)

次は多分……早めに更新しますので(・ε・` )

それでは~ 
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