| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

魔法少女リリカルなのはStrikerS~赤き弓兵と青の槍兵

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

本編
  三十話~決着――地上

side ギンガ


いきなり逃げ出した戦闘機人のあとを追いかけて行くと、その先にいたのは……


「スバル!?」
「え?ギン姉!」


スバルと、赤い髪の戦闘機人。


「ノーヴェ。ここは2対2だ。やれるか?」
「あったりめーよ!チンク姉と一緒ならどんな奴にだって負けねえ!」
「ふ、頼もしいな、ではいくぞ!!」


どうやら彼女の目的はこれだったようだ。だが、チーム戦ならばこちらも!!


「組んで戦うのは久しぶりね、スバル」
「ギン姉と一緒……絶対に勝つよ!」
「いきましょう!」
「おう!」


私はスバルと同時に駆け出した。




side ティアナ


「ちょっと不味いわね……」


物陰に隠れ、状況を整理する。


敵は三人。近接系、オールラウンダー、遠距離支援系。
どの距離でも対応出来るメンバーが相手だ。それはつまり……


「絶対絶命ね」


そんな状況だと言うのに、私は笑っている。理由は単純。


「まるで今までの訓練がこのためにあったみたいね」


士郎さんとの模擬戦。その再現のような状況だったからだ。


「あれ、上手くいくかわからないけど、やるしかないわね、クロスミラージュ」
[Yes.]


対士郎さん用に開発した切り札。ここでお披露目になるとはねぇ……


「隠れても無駄ッスよ~。あんたの場所はもうわかってるッス!!」


さてと、勝利の布石を打ちに行きますか!




side エリオ


「フェイトさん……」


スカリエッティの通信でフェイトさんの状況がわかった。そして、僕の憧れの存在が何者なのかも。


「大昔の、英雄……」


いつか言っていた。一個大隊を一人で足止めした、と。
そして見事な状況判断。それは全て本物の戦場で命のやり取りをして来た英雄としての物だったのだ。
あの人がついているのだ。フェイトさんは大丈夫。
だから僕はキャロを守り、ルーを助けることだけ考えればいいんだ。


「さあ、いこう。ストラーダ!」


僕は駆ける。大切な人を守るため。あの人との誓いを果たすために。




side チンク


先に仕掛けてきたのはあちらだ。ファーストが左方向から、セカンドが右方向から。


「ノーヴェ、左だ!」


ファーストは小技を使いながら隙を見つけて一撃を叩き込むタイプ。ノーヴェを向かわせればしばらく状況は均衡するはず。対してセカンドは一撃一撃が重いパワーファイター。弾幕で押しとどめておき、ファーストを先に倒す。


「くうっ…………」


防御しながら苦悶の声を漏らすセカンド。このまま押しとどめる!


(ノーヴェ、3数えたら一旦引いてこい)
(おうよ!)


ファーストの方へ丁度ギリギリノーヴェを巻き込まないタイミングで爆発するようにナイフを30個投擲。


「ISランブルデトネイター!」


ナイフが一斉に爆発する。咄嗟にプロテクションを張ったファーストの姿が見えたが、そんな急ごしらえのプロテクションでは対して変わるまい。案の定、煙が張れると、


「ギン姉、ギン姉!!」


ファーストはその場で血を流して倒れていた。


「このまま決めるぞ!ノーヴェ!!」
「おう!」


戦局は変わった。このような形になったのは予定外だが、根幹は何も変わらない。
勝つのは、私達だ。




side ウェンディ


「そらそらそら~!!」


3対1になった途端、幻影攻撃に切り替えてきたオレンジ頭。
私とオットーで数を減らし、ディードが切り込む。完璧なコンビネーションッス!!


「何だ……?」
「どうしたッスか?オットー」


何を思ったのか知らないけど、オットーがいきなり困った顔になった。


「いや、気のせいだ………」
「ふーん」


ま、どうせ魔力切れで幻影出せなくなる前にオレンジ頭が増援を呼ぶ準備でもしてるとでも思っただけッスよね。
おっと。また幻影が現れた。撃ち落とす。


「いい加減あきらめたらどうッスか~?」
「ウェンディ、油断しちゃだめよ」


ディードに怒られた。


「へいへい、ちゅーいしておくッスよ~」
「………来た!」


ディードの声に振り向いた先にはまた幻影。撃ち落とす。


「ほ~んと、バカの一つ覚えっすね~」
「馬鹿はウェンディでしょ」
「何おぅ!?オットー、今のは聞き捨てならねえッス!!」
「……二人とも、戦闘中」


こ、こいつらといると疲れるッス………
この時の私達はまだ知らない。幻術使いの掌の上で踊らされていたことを。




side エリオ


「もうやめようよ……こんなことしても意味ないよ……」
「あなた達にはわからない……優しくしてくれる人がいて、友達がいて……私の近くにいる人たちは皆いなくなっちゃう。私を置いてきぼりにして……一人は嫌だ……寂しいのは、嫌だああああああ!!!!!」


ルーが叫ぶと同時に、今までとは比べ物にならない魔力が溢れだし、ひときわ大きな召喚魔法陣が現れた。
そこから出てきたのは、巨大……まるでビルのような大きさの召喚獣だった。


「地雷王……ガリュー……白天王……殺して。全部壊してええええええ!!!」


あのサイズは僕たちでは押さえられない。不味い……


「大丈夫。エリオ君。私に任せて」


だがキャロは強い意志をその瞳に宿してルーを見据えていた。
そんなキャロからもひときわ大きな召喚魔法陣が現れる。


「天地貫く業火の咆哮、遥けき大地の永遠の護り手、我が元に来よ、黒き炎の大地の守護者。竜騎招来、天地轟鳴、来よ、ヴォルテール!」


竜騎召喚。キャロの最大の切り札だ。ルーの白天王と同じ位のサイズを誇る巨大な竜ヴォルテール。


「殺したって、壊したって、あなたの不幸がなくなることはない。それ以上に、もっともっと不幸になっちゃうよ。だから止める。私は、あなたを助ける!!」


ルーに向かってキャロが強く言い放った。だから僕も続く。


「ガリュー。君だってこんなことしたくないんでしょ?ルーにもっと幸せになってほしいんでしょ?だったら僕たちを手伝って」


ガリューは俯いて、そして首を横に振った。


「………そう。だったら僕は君を止める。僕の、すべてをかけて!!」




side ルーテシア


なにもわからない。分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない。
私は……なんでこんなことをしてるの?
わからないけど、憎い。
何が憎いのかもわからないけど、憎い。
だから壊す。地雷王も、インゼクトも、ガリューも、白天王もいる。全部壊せる。この子たちがいれば、全部。




…………………………そのあとには、何が残る?





そんなこと、どうでもいい。とにかく壊してしまえばいいんだ。





…………………フリード、ブラストレイン!!



いたい。なにかをくらったみたいだ。いしきが、うすれていく………。



………………ルーちゃん!!



さいごにきこえたのは、わたしをよぶだれかのこえだった。




side エリオ


「はあああああああああああ!!」
「…………………!!!!」


ガリューの拳とストラーダがぶつかり合う。


「君がルーを大切に思ってるのは知ってる。でも!!主が間違っているのならそれを正すのも君の役目なんだ!!」
「………」


僕はフェイトさんに助けてもらって、八つ当たりを繰り返していた自分が間違っていることを教えてもらえた。だから今の僕がいる。……きっと、ルーにはいなかったんだ。大切なことを教えてくれる人が、間違いを正してくれる人が。


「でも、まだやり直せるんだ!!」
「……………」


この一撃で、決める。


「雷槍……一閃!!」


ストラーダを振りかぶり、渾身の力で降り下ろす。
ガリューが防御するより先にその身を捉えた。


「キャロ……」


ガリューは気絶した。早くキャロの元へ戻ろう。
そう思った時だった。


「通信………誰からだろう?」


その通信を繋ぐ。その相手から伝えられたのは、驚くべきことだった。




side キャロ


「ああああああああああああああ!!!」


発狂しながら地雷王を仕向けてくるルーちゃん。こんなの見てられないよ………。


「フリード、ブラストレイン!!」


ブーストしたフリードのブレスで地雷王の攻撃を打ち消す。その余波を喰らってルーちゃんも気絶したみたい。


「ルーちゃん!!」


倒れたルーちゃんを抱き起こす。
深いダメージはなかったみたい。よかった……。
でも、問題はそのあとにあった。


「キャロ、無事!?」


エリオ君があわてて駆け寄ってくる。


「エリオ君、いったい何が……?」
「フェイトさんが……ランスさんが……!」
「落ち着いて!何があったのか話して」
「ご、ごめんね」


そうしてエリオ君は語りだす。


「ガリューを倒した後、またスカリエッティから通信が来たんだ」
「え………!」
「アルハザードの技術で強化したAMFで二人を捕えて実験材料にする……そう、言ってきた」
「今すぐ教えないと!!」


私はフェイトさんに、エリオ君はランスさんに通信を繋いだ。が、フェイトさんは出なかった。


「ランスさん!!聞いてください!!」
「お?どうしたエリオ」


ランスさんには通信がつながったようで、エリオ君はランスさんにスカリエッティが言っていたことを伝えた。そうしてきた返事は……


「そうか。エリオ、お前は市街地から動くな」


予想とは全く違うものだった。


「え……?」
「これはお前をおびき寄せるための罠だ。だから来るな。俺が何とかする」
「でも!!」
「お前は誰を守りたいって俺に言った?そいつの傍から離れるな。フェイトの事は心配するな。あいつの騎士はこの俺だぜ?」


ランスさんの言葉はよくわからなかったが、エリオ君はわかったらしく、


「わかりました。お気をつけて」
「バカヤロー。俺にそれを言うには20年はえーぞ」


そんな受け答えをしていた。


「キャロ」


通信を終えたエリオ君は私を見つめ、


「ルーを救護班のところへ連れて行って、防衛ラインの援護に入ろう」
「いいの………?」
「うん。あの人の背中はまだまだ遠いってことがよくわかったよ。だから僕たちにできることをしよう」
「うん!」


エリオ君は絶対にランスさんが勝つことを信じていた。だから私も信じる。二人が無事に帰ってくることを。




side ティアナ


「よし、あと一か所……!!」


廃ビルの中、私は着々と準備を進めていた。これは本来チーム戦を想定した技だが、個人でも可能だ。シルエットを使っているのは囮役の代用。そのためどうしても威力が低下してしまうが、このレベルの相手を倒すには十分だ。


「待て!!何かおかしい!!」


だが、相手の司令塔っぽいやつは最後の最後で気づいたみたいだ。
………ちょっとだけ、まずいかな?


「どういうことっすか?オットー」
「巧妙に隠されていたから気づけなかったけど、あの幻影は僕たちを囲むように(・・・・・)出されていた。これが意味するのは………」
「広域殲滅の、準備………?」
「恐らく。このままじゃまずい。幻影にはもう攻撃するな!!それと、防御の準備をしておくように!!」
「「了解!!」」


………近いけど、はずれね。幻影に攻撃しなくても仕込みはできる。幻影を最後の地点に出現させる。攻撃はされなかった。問題なく仕込みも完了。これで、終わりよ!!


「起動!!」


仕掛けてあった魔法陣が起動し、一斉に魔力弾を放った。


「来たぞ!!……思ったより弱いな。迎撃を……!?」


迎撃を仕掛けるのが遅すぎね。ま、広域殲滅で蹴散らさなきゃいけないんでどの道無理でしょうけど。


………私がやっていたのはキャプチャーシュート・スプレッドスタイルという広域捕縛魔法だ。
キャプチャーシュートのスフィアを生み出す魔法陣を周囲に仕掛け、一斉起動。上下左右から広がりながら迫ってくるチェーンバインドの網に捕えられる、という技だ。この技は性質上自動的に多重にバインドがかかるため、抜け出すのもかなり難しい。


「広域捕獲、なんて………!」
「そうよ」


私は姿をさらす。


「仕掛けてるのは広域殲滅と思ったかしら?ごめんなさいね。相手の裏の裏をかく。戦術家の常識でしょう?私はこれ以上戦う必要はないと思うわ。大人しく投降してちょうだい。そうすればあなたたちの罪はそこまで重くはならないから」
「誰が………!」
「よせ、ウェンディ」


反発してきたあの一番アホっぽい子を司令塔の子がたしなめた。


「このバインド、四重五重………、いや、もっと多重に重ねて掛けてある。僕らのバインドブレイクで敗れる物じゃないよ」
「それじゃあ……」
「術者を倒せば解ける」


そういっていきなりスフィアを展開、撃ってきた。


「これで解け……ない!?」
「ええ。あなたの考えは合ってるわよ」
「何で無傷……!?」


あの攻撃を避けられたのは、咄嗟に士郎さんが良くやっていた剣の刀身で魔力弾を受け流す、と言うのをダガーブレイドで行ったためだ。


「でも、そのくらいの不意打ちは予想してるわ。せっかく捕まえても倒されちゃ元も子もないからね」
「くっ………」
「これ以上は無意味でしょう?まだやるって言うなら至近距離で砲撃ぶち込むわよ♪」


とってもいい笑顔で警告してあげた。ちなみに砲撃はブラフである。だますのも戦術のうちだからね。


「……降参、するよ」


これで終了。後は防衛ラインの援護にでもまわりましょうか。




side スバル


「うっ、この!」
「効かねえよ!」


ギン姉がやられ、2対1に。堪えてはいるが、このままじゃ……!


「ここまでだな。よく粘ったが私たちの方が上だ。あそこで寝ているファーストともども連れ帰るとしよう」


どうしようも、ないの………?
もう……だめなのかな、ティア……。


「沈みな!!」


呆然とするあたしに殴り掛かってくるノーヴェ。


(スバル!!左よ!!)
(え?)


言われたとおりに左に避けると、そこには……


「はあああああ!!」


こちらに向かってくるギン姉がいた。


「なっ!?うわああああああ!!」


ノーヴェが吹き飛ぶ。


「貴様……!何時の間に目覚めていた!!」
「そもそも気絶なんてしてないわよ」
「え?」


ウソ……


「どういうこと!?」
「敵を騙すにはまず味方から、よ」


よかった……。


「で、これで形勢逆転だけど、どうするのかしら?」


いつの間にかノーヴェはバインドで縛られていた。いつやったんだろう………


「私一人でもお前たち位………」
「武器がなくても倒せる、と?」


そう言いながらギン姉が取り出したのはあの戦闘機人の子が使っていたナイフ。


「い、いつの間に!?」
「あなたが私の傍に来るたびにちょっとずつね」


………ギン姉、いつの間にそんなことを……


「負けを認める?」
「ま、まだだ!」
「これでも?」


ギン姉がそう言いながら指を鳴らすと、


「なに!?」
「設置型バインド。仕掛けておいたのよ」


我が姉ながら卑怯な気が……


「それにしても……流石八神部隊長の作戦ね。大成功よ」


部隊長!?ギン姉になに教えたんですか!?


「さて、防衛ラインの援護に行くわよ、スバル」
「え、ええ!?この子たち……あれ?」


さっきまであの子たちがいたところを見ても、誰もいなかった。


「あの子たちは輸送ヘリのとこに転送したわよ」
「はぁ!?」
「すごいわねー。八神部隊長特製『システムマサキ』」
「なにそれ?」


ギン姉が持っていたのは真ん中にボタンの付いた上部が赤で下部が白い小さな球体。


「このボタンを押すと、光線が出てきてその光線の当たった対象が指定のカプセルまで転送されるって言う代物よ。部隊長の趣味らしいんだけど、犯罪者を捕まえる時役に立った、って言ってらしたから借りておいたのよ」


部隊長って何でもアリだね………。とりあえず解決、でいいのかな??




side ゼスト


「はあああああああああ!!」
「うおおおおおおおおお!!」


目の前の騎士、シグナムと打ち合う。


「飛竜、一閃!!」


鞭のように変化させた剣で攻撃してくる。回避するという選択肢は俺にはなかった。
懐まで一気に飛び込み、一閃。


「くっ、うわあああああ!!」


咄嗟に鞘で防御したようだが、威力に負けたようで、落ちていく。
その隙に本部へと向かった。
もう少しだ。レジアス………。お前は今、何を思っているのだ? 
 

 
後書き
今回のオリジナル魔法

・雷槍一閃


電気を纏ったストラーダで斬る。という単純なもの。


・キャプチャーシュート・スプレッドスタイル


本編中の説明の通り。本来は囮役が敵を引き付けている間に魔法陣を仕掛けるチーム戦用の技。




書いてて思った。ティアナがはやて化しつつある、と………


「至近距離から砲撃ぶち込むわよ♪」


オレンジの悪魔誕生か……!?


そしてギンガも変な方向へ………おもにはやてさんのせいで。
シリアスばっか書いてたせいで変になったみたいだ。反省はしない。


と、あんまり締まらない後書きになりましたが、許してください。


次話も近いうちに投稿したいと思います。


それでは~ 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

感想を書く

この話の感想を書きましょう!




 
 
全て感想を見る:感想一覧