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ハッピークローバー

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第百二十四話 運動会その八

「それでもね」
「あの国だけはね」
「うち企業グループが経営してるから」
「八条グループがね」
「あそこ共産主義ってなってるから」
 実情が全く違うことも誰もが知っていることだ、世襲制でしかも生まれついての階級が存在している共産主義国家なぞ有り得ないものだ。
「企業は資本主義だし」
「その時点で相反するしね」
「それで八条グループって北朝鮮批判してるし」
「間違ってるって」
「堂々ね、だからね」
 それでというのだ。
「あの国だけはね」
「人が来てないわね」
「総連とも仲悪いし」  
 その北朝鮮の日本における組織である。
「それでな」
「あの国の人だけはいないわね」
「向こうが一方的に嫌って」
 そうしてというのだ。
「人送らないしのよね」
「そうよね」
「あの国だとね」
 一華はここでこんなことを言った。
「スパイでもね」
「入れそうよね」
「学生は無理でも」
「先生とか職員さんね」
「いそうだけれど」
「うちの学園日教組も嫌いだし」 
 北朝鮮の教育を理想とするこの組織もというのだ。
「それじゃあね」
「スパイもなのね」
「入れられないでしょ、うちの学園で将軍様の肖像なんて掲げたら」
 総連の学校では常である、そうしなければならないのだ。
「もうね」
「アウトよね」
「だからね」
「そういうこと認めないから」
「北朝鮮のスパイもね」
「入られないのね」
「あの国の嫌いな要素山盛りだから」 
 八条学園はというのだ。
「北朝鮮でするもの皆禁止してる様なものだし」
「来ないのね」
「そうみたいよ」
「それは何よりね、ブルマがなくて」
 富美子は神妙な顔で言った。
「あの国のやることもスパイもないなら」
「それに越したことはないわね」
「というか学校にスパイ送り込む?」
 富美子はふとこのことを疑問に思った。
「大学の研究所でもないと」
「そういうところに潜り込ませるんじゃない?」
 かな恵は少し考えてから答えた。
「学校にスパイって」
「そうするの」
「うん、ただ国家機密レベルの研究は」
 そうしたものはというと。
「もう専門のね」
「研究所あるわよね」
「独立したね」
 大学とは、というのだ。
「八条グループだとね」
「独立していて」
「そこでやってるわね」
「八条グループって軍需産業もやってるけれど」 
 富美子はこの話をした、ただし日本の防衛産業独特の状況によって市場が限られているので採算はいいものではない。
「そうしたところってね」
「学校にないしね」
「日本じゃないわよね」
「アメリカじゃないから」
 この国ではマサチューセッツ工科大学に軍人が出入りしたりしている。 
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