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神々の塔

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第六十四話 終わらないものはないその六

「思っていませんでしたが」
「ああ、自分等はか」
「はい、普通の肉や内臓はです」
 そうした部分はというのだ。
「食べられると知っていましたし」
「今もやな」
「調理してお出ししましたが」
「掌はかいな」
「中国の神霊の方々とお会いするまでは」 
「知らんかったか」
「はい」
 そうだったというのだ。
「実は」
「そうやってんな、けれど美味いやろ」
「はい」
 料理人は神妙な顔で答えた。
「味見をしましても。それで今夜の宴にもです」
「出してくれてるな」
「この様に」
 卓の上には既にあった、白い脂身の様なものが。
「用意させて頂きました」
「ほなな」
「熊の掌もですね」
「楽しませてもらうわ」
「それでは」
「これからな、しかしな」 
 ここでトウェインはこうも言った。
「熊の掌は中華料理の食材やな」
「三大珍味の一つや」
 リーが答えた。
「イワツバメの巣、フカヒレと並ぶな」
「そやな」
「そやからな」
 骨付きの熊肉にかぶりつきつつトウェインに話した。
「ギリシア料理ではやな」
「ちょっと思いつかんわ」
「そやな、しかし作ろうと思ったらな」
 それならというのだ。
「ギリシア料理でもや」
「熊の掌の料理が出来るか」
「そもそもこの料理塩胡椒やソースで味付けされてるが」
「煮られて焼いてな」
「香草や野草も入れてな」
 見れば野菜料理もある。
「そうしてな」
「わい等食ってるな」
「胡椒なんて古代のギリシアにはや」
「あってもね」
「物凄い高価やった」
 そうだったというのだ。
「ほんまな」
「そうやな」
「カレーライスなんかな」 
 リーはこの料理の話もした。
「それこそ黄金の塊や」
「そこまでのもんやったな」
「当時の欧州では香辛料はほぼや」
「採れんかったな」
「それでや」
「古代ギリシアでもやな」
「こうした胡椒を使うなんてな」 
 それこそというのだ。
「なかったわ」
「高価過ぎて」
「今カレー言うたが」
「カレールーは多くの香辛料で作るな」
「もう香辛料の塊やな」
「そうやとな」
 そうした料理だと、というのだ。 
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