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宇宙船なのか

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第一章

               宇宙船なのか
 今メキシコと呼ばれる国にパレンケ王朝という国があった、その国の王をキニチ=ハナブ=パカル一世といった。
 この王は政治でも軍事でもかなりの功績を残した、だが人は必ず死ぬものであり。
 遂に世を去った、国の者達はこぞって言った。
「素晴らしい方だった」
「偉大な方だった」
「だから素晴らしい埋葬をしよう」
「そのうえで王には天国に行って頂こう」
「そうして頂こう」
 こう話してだった。
 王を盛大に葬った、そしてだった。
 石のレリーフを造ったがそれはというと。
「天国に行く王だ」
「下から上にだ」
「王がまさに天国に昇られる」
「そのレリーフを造ろう」
 こう話してそうしたレリーフも造ってだった。
 偉大な王を讃えた、これは今の西暦で言うと七世紀も終わりに近付く頃のことであった、彼等はこれで終わったが。
 時代は進みマヤやアステカひいてはインカといった中南米のそれぞれの文明の研究が進む中でだった。
 あるオカルトマニアがそのレリーフを見て言った、日本人のとある週刊少年漫画雑誌の編集者である機囃子凶刃という眼鏡をかけ黒髪をセットした若い男だ。
 彼はそのレリーフを見た瞬間に叫んだ。
「ま、まさか」
「ど、どうしたんだ機囃子」
「何かわかったのか」
「そうなのか」
「アステカやマヤ文明は宇宙に到達していたんだよ!」 
 彼は仲間達に絶叫した。
「間違いない!このレリーフを横に見るんだ!」
「!?これは」
「まさか!」
 仲間達もはっとなった。
「宇宙船か!?」
「宇宙船を操縦しているのか!?」
「そうだ、そしてだよ!」
 機囃子の絶叫は続いた。
「宇宙人と関係を持っていたんだ!そして宇宙人達が今!」
「どうするんだ!」
「他の知的生命体か!」
「連中が何やるんだ!」
「今このレリーフが出て来たことが何よりの証だ!」
 その証の根拠は言わない。
「他の星の知的生命体はいよいよ人類を滅亡させるんだ!」
「な、何だってーーーーーーー!!」
 仲間達はその根拠のない主張を鵜呑みにした。
「それは大変だ!」
「なにとかするんだ!」
「いや、無理だ!」
 機囃子はまだ絶叫するのだった。
「人類は滅亡するんだ!」
「な、何てことだ!」
「他の知的生命体には勝てないのか!」
「どうにもならないのか!」
「そうだ、人類は滅亡するんだ!」
 あくまでこう叫ぶのだった、こんな輩がいたが。
 まさにアステカやマヤを研究しているアメリカの考古学者ミーシャ=グリーン短いブロンドで青い目で尾高やな顔立ちでスタイルのいい若い彼女は彼等を見て日本の同業者で友人である小坂真琴小柄で楚々とした顔立ちで黒髪を長くしている彼女に尋ねた。
「彼等はおかしいのかしら」
「ええ、おかしいわ」
 小坂も否定しなかった。
「あの人達は」
「そうなのね」
「何かあったらね」
 それこそというのだ。 
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