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ハーフトラック

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第二章

「本当にな」
「昔は日本もお下がりばかりでしたか」
「復興したばかりで発展してもな」
「高度成長ですね」
「それで今みたいに豊かでもな」
 中佐は自分達の前にある日本の漫画雑誌をちらりと一瞥してから言った、その表紙はドクタースランプという作品である。
「自衛隊の装備はな」
「我が国のばかりで」
「次第に自分達で造ったものを使う様になったんだ」
「そうですか」
「それで我々がこれから行く基地も兵器は多いがな」
 置かれているそれはというのだ。
「そちらもいい機会だからな」
「見ますか」
「そうしような」
 こうした話をしてだった。
 ロジャーもその基地に赴いた、彼等の司令官と自衛隊の司令官との会談は問題なくはじまり行われ終わってだ。
 彼等は昼食の前に基地の視察に出たが。
 ロジャーは目を瞠ってだ、ある兵器を見て驚きの声をあげた。
「これは」
「ハーフトラックだな」 
 中佐は冷静な顔で応えた。
「そうだな」
「はい、ハーフトラックは」
 一緒にいる彼にだ、ロジャーは言った。
「もうですよ」
「二次大戦の兵器でな」
「今一九八〇年ですよ」
「結構以上経ってるな」
「俺戦後生まれなんですが」
 二次大戦のというのだ。
「まだあるんですか」
「自衛隊はものもちがいいんだよ」
 中佐は冷静に答えた。
「だからな」
「まだですか」
「ああ、こうしてな」
「ハーフトラックなんて使ってるんですか」
「流石にかなり古くなってるけれどな」
「それでもまだ使っているなんて」
「使えるものはとことん使う」
 中佐はロジャーに話した。
「それもな」
「自衛隊ですか」
「そういうことだろうな」
「最新鋭の武器や兵器を揃えるだけでなく」
「古いものもな」
「最後まで、ですね」
「本当にどうしようもなくなるまでな」
 あまりにも古くなって使えなくなるまでというのだ。
「整備もしてな」
「使うんですね」
「それが自衛隊って組織だな」
「凄いですね、こんなものまで使って」 
 ロジャーはまだハーフトラックを見ている、アメリカ陸軍ではもう過去の兵器となっているそれをだ。
「自衛隊というのは凄い組織ですね」
「ああ、確かに数は少ないけれどな」
 中佐もこのことはわかっていて言う。
「それでもな」
「質はですね」
「最新鋭のものを使ってな」
「旧式のものも最後まで使うんで」
「ちゃんと整備してな」
「質は凄いですね」
「だから何かあってもな」
 その時が来てもというのだ。
「かなりやってくれるな」
「ですね、このハーフトラックも」
 さらに見るとだ。
「よく整備されて奇麗にされて」
「ちゃんと動くな」
「そうなってますしね」
「こうした組織が一番強いんだ」
「そうですよね」
「だからな」 
 中佐はさらに話した。 
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