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夢幻水滸伝

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第三百四十二話 南進開始その六

「ニューオーリンズ占領してくれるか」
「敵の水軍と戦わずに」
「ああ、今ユカタン海峡の北の方におるやろ」
「はい、そうです」 
 エリカは戦艦の艦橋からその通りと答えた。
「そこにいます」
「それで敵の水軍はガルベストンを港にしてるやろ」
「そうです」
「それで水軍同士の決戦を挑むつもりやったが」 
 それをというのだ。
「ここは予定を変更してな」
「そうしてですか」
「敵の水軍は動いてへんやろ」
「こっちの隙を伺っていますが」
 それでもとだ、エリカはトウェインに答えた。
「奇襲の機会を狙っています」
「そうしているな」
「ですが決戦を挑もうとはです」
「してへんな」
「戦力差を考えてでしょう」
 両軍のそれをというのだ。
「そやから決戦を行い」
「正面から戦ってな」
「決定的な敗北を喫することを恐れている様です」
「そうなったら制海権を確実に失うしな」
「その様です」
「それやとな」
 それならとだ、トウェインは強い声で話した。
「尚更ええわ」
「ニューオーリンズに攻撃を仕掛け」
「そしてや」
 そのうえでというのだ。
「あの街を占領してな」
「港を使う様にして」
「そしてや」
 そのうえでというのだ。
「メキシコ湾東部の制海権とや」
「ミシシッピー川の制川権の掌握ですね」
「それをしてくれるか」
「わかりました、敵が動かずですね」
「ミシシッピー川の制川権を掴みたいからな」
 だからだというのだ。
「ここはや」
「そうしますね」
「ああ、頼めるな」
「ではすぐに。ただ補給は」
「水軍のやな」
「メキシコ湾を通りますと」
 補給を行う輸送船団がというのだ。
「やはりです」
「敵の水軍が狙うな」
「そうしてきますが」
「輸送のルートを変える」
 トウェインはすぐに答えた。
「西海岸からパナマ運河を通ってやない」
「これからは」
「ミシシッピー川からな」
 そちらからというのだ。
「ウイスコンシンやアイオワの物資をな」
「水軍に送ってくれますか」
「ああ、そうするわ」
「ほなニューオーリンズからセントルイスまで、ですね」
「占領してもらえるか」
「艦隊を進めていきます」
 エリカは強い声で答えた。
「必ず」
「こっちもまずはな」
「ミシシッピー川沿いの街や村をですね」
「掌握してな」
 そうしていってというのだ。
「そしてや」
「そのうえで、ですね」
「ミシシッピー川流域を完全にや」
「掌握されますか」
「そうするわ」
「陸からも攻めますか」
「これは最初から予定していたしな」
「ミシシッピー川の水運を使っての補給と進軍を考えていたので」
「それでや」
 だからだというのだ。 
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