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八条学園騒動記

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第七百四十四話 シナゴーグその四

「ちょっとね」
「出来ないことね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「イスラエルで改宗はね」
「そこまで絶対のことなのね」
「だからユダヤ教徒でないと」 
 まずはこれが絶対条件だというのだ。
「何があってもね」
「イスラエル市民じゃないから」
「改宗はイスラエル人でなくなる」
「それでイスラエルを出る」
「そしてユダヤ系のコミュニティーからもね」
「出ることなのね」
「ユダヤ系は連合中にネットワークがあってね」
 これがイスラエルという国の力の源になっている、その連携と情報の収集と共有が強みになっているのだ。
「それで何処に行っても暮らせるけれど」
「それも使えなくなるのね」
「そうなのよ」
「本当に改宗がすることになったら大変なのね」
「そう、信仰はね」
 イスラエルではというのだ。
「そこまでよ」
「絶対なのね」
「ややこしいね、そういえば」
 セドリックもここで言った。
「イスラエルって宗教家の人達が強いよね」
「ラビの人達ね」
「そうだよね」
「ええ、大統領がいて」
 言うまでもなく国家元首である。
「その上にね」
「最高顧問機関でだよね」
「十二支族それぞれの代表の」
「長老さん達の会議があるね」
「この長老さんになるにも」 
 実質的にイスラエルの最高権力者である彼等のだ。
「やっぱりね」
「ラビにならないと駄目だったね」
「その資格が必要なのよ」
「そうだよね」
「長老さんはそれぞれの支族間の選挙で選ばれるけれど」
「ラビでないとだね」
「資格がないのよ」
 そうだというのだ。
「そもそもね」
「そうなんだね」
「大統領はその資格がなくてもいいけれど」 
 それでもというのだ。
「ラビ出身の大統領もね」
「多いんだね」
「そうなのよ」
「それだけラビの人達の発言力が強いんだね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「もう軍隊はね」
 こちらの組織のことも話した。
「昔は戦争ばかりで」
「ああ、イスラエルっていうと」
「建国から暫くそうだったわね」
 二人でイスラエルのその頃の歴史を話した。
「中東各国と戦争ばかりして」
「大変だったね」
「それで国民皆兵で」
 そうした国家でというのだ。
「戦ってばかりだったけれど」
「今は違うね」
「そうよね」
「ええ」
 確かな声で答えた。 
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