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ドリトル先生と不思議な自衛官

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第八幕その六

「本当にね」
「こちらも高価で」
「そうは飲めなかった」
「そうだったんだ」
「今は普通に売ってるけれどね」
「スーパーでも」
「それで先生も飲んでるけれど」
 皆で言います。
「昔は高くて」
「皆が飲めるものじゃなかった」
「そうなのね」
「ジョニー赤や黒は」
「そうだよ、昔の日本は今と違うよ」
 全くとです、先生はお話しました。
「戦前と今じゃね」
「高度成長からだね」
「ガラって変わるのね」
「今みたいになったんだ」
「そうなのね」
「そうなんだ、だから大和でもね」
 この戦艦の中でもというのです。
「そうした状況でね」
「成程ね」
「なかなか勉強になるよ」
「そうした状況だったなんてね」
「本当にね」 
 皆も唸る様にして言いました、そしてです。
 それからも学んでいったのですが先生は次の日の午前中学問に励む中でふとこんなことを言いました。
「堀与さんのことだけれど」
「舞鶴で僕達のお世話をしてくれたね」
「あの人だね」
「一等海佐の」
「あの人だね」
「あの人誰かに似ていると思ったら」
 それならというのです。
「東郷さんに似ているよ」
「あれっ、そうかな」
「似てるかしら」
「あまりそうは見えないけれど」
「気のせいじゃないの?」
「ほら、見てみて」 
 先生は自分の言葉に首を傾げさせた皆にある本の写真を見せました、そこには若い一人の海軍士官が映っていました。
「これは若い頃の東郷さんだよ」
「あら、美男子ね」
「軍服も似合っていて」
「今で言うとイケメンになるね」
「きりっとしているよ」
「ほら、そっくりだね」
 まさにというのでした。
「堀与さんと」
「確かにね」
「かなり似ているね」
「そっくりと言っていい位に」
「そこまでね」
「そうだね、しかもね」 
 先生は皆にさらにお話しました。
「堀与さんっていうのは東郷さんのお母さんのお家の姓だよ」
「あっ、そうだったんだ」
「東郷さんのお母さんのご実家だったんだ」
「それは知らなかったよ」
「まさかのまさかだよ」
「堀与さんがそのお家の人かどうか知らないけれど」
 それでもというのです。
「実良というお名前も東郷さんのかつてのものだったしね」
「うわ、共通点多いね」
「あの人も鹿児島出身だったし」
「昔の鹿児島弁がとも言ってたしね」
「そうだったわね」
「国際法にも強いし。まさか」
 先生は皆にそうしたお顔になってお話しました。 
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