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運動会は昔地獄だった

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第一章

                運動会は昔地獄だった
 八条学園高等部で運動会がはじまった、それで陸上部所属のアメリカ人ハニー=リップスは準備体操をしてだった。
 自分が出る競技に備えていた、長身ですらりとした長い脚を持つ縮れた黒髪を後ろで束ねているアフリカ系の女の子で黒い目がきらきらとしている。
 今まさに出場せんとしているが。
「あんた短い半ズボン穿いてるのね」
「それがどうしたの?」
 クラスメイトの久保紹子に言葉を返した、紹子は狐を思わせる吊り目で形のいい顎を持つ小柄な少女で黒髪をロングにしている。色白ですらりとしたスタイルだ。
「膝までの半ズボンよりも動きやすいから」
「それでなのね」
「今はこっちを穿いてるの」
「そうなのね」
「ええ、別にいいでしょ」
「いや、その半ズボンちょっと裾が上がったら」
 紹子はハニーに言った、彼女は黒い膝までの半ズボンだ。そのうえでハニーの赤い短い半ズボンを見て言うのだ。
「下着がね」
「見えるっていうの」
「そうなるかもって思ったから」
 だからだというのだ。
「言ったのよ」
「そうなのね」
「大丈夫かしら」
「大丈夫でしょ」 
 これがハニーの返事だった。
「そこまで短くないでしょ」
「そうかしら」
「ええ、気にしなくてもいいわよ」
「心配性かしら、私」
「そうじゃない?じゃあ行って来るわね」
 競技にだ、こう話してだった。
 ハニーは自分の競技に出て一等となってそのうえで帰ってきた、そして自分達のクラスの控え場所に戻って紹子に尋ねた。
「見えてる?」
「大丈夫よ」
 紹子はにこりと笑って答えた。
「見えてないわ」
「でしょ?これ位だとね」
「見えないのね」
「陸上部のウェアとは違うから」
「ああ、最近の」
「あれだとね」 
 陸上部としてクラスメイトに話した、尚紹子は美術部である。
「着ているだけでね」
「見られるわね」
「殆ど水着やレオタードだからね」
 そうしたデザインだからだというのだ。
「問題にもなってるのよ」
「隠し撮りとかされて」
「だからうちの陸上部は大会の時も半ズボンだけれど」 
 昔ながらのというのだ。 
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