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事務所から独立したいと思っていたら

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第一章

                事務所から独立したいと思っていたら
 芸能界では大手の一つであり世界的な企業グループ八条グループの企業の一つである八条芸能もでる部門に所属している夜目真珠は今考えていた、小さな顔に整った顔に一七五の長身と見事なスタイルにセットされた短い黒髪は如何にもトップモデルといった風だ。
 実家においてだ、彼女は両親にその考えを話した。大阪の事務所なので大阪で一人暮らしだが今は志賀の実家に帰っているのだ。
「独立しようかなってね」
「考えているのか」
「今の事務所から」
「そうしようと思ってるけれど」
 こう言うのだった。
「どうかしら」
「そうだな、独立するにしてもな」
「筋は通さないとね」 
 両親は独立自体には反対せず娘に言った。
「不義理なんてしたらね」
「揉めたらお前の評判が落ちるからな」
「モデルの世界も評判が大事でしょ」
「そこは気を付けてな」
「そうね、そうしたところはね」
 真珠もそれはと頷いた、そのうえでだった。
 独立について考えていった、だがそんな中で事務所の社長に呼ばれて言われた。
「独立したいのかな」
「そ、それは」
「独立したいならいいよ」 
 社長に言われるとは思わずまた本心を見透かされたと思い固まった真珠に対してだ、社長は笑って話した。
「うちはね、ただね」
「ただ?」
「真珠ちゃんいい子だからね」
 サングラスをかけた細面の整った顔で言うのだった。
「よかったら事務所設立してもね」
「個人事務所ですか」
「うちの系列でどうかな」
 こう提案してきた。
「それでどうかな」
「系列ですか」
「うち系列事務所結構あるよね」
 八条芸能はというのだ。
「それでね」
「そのうちの事務所としてですか」
「どうかな、それで」
「あの、それは」
 真珠は社長が言う条件を聞いて戸惑いを隠せなかった、そのうえで言った。
「幾ら何でも私に」
「都合がいいかな」
「独立しまして」
 そうしてというのだ。
「系列だと」
「お仕事色々便宜するよ」
「条件よ過ぎますが」
「いや、この業界系列があるとね」
「いいですね」
「モデルさんといっても多いし」 
 この職業にある者はというのだ。
「皆を皆売り出しきれないからね」
「一つの事務所で」
「だから真珠ちゃんみたいな性格も実力も兼ね備えた娘なら」
「独立して」
「系列に入れたいしね、いい娘がいたらスカウトする様に」 
 真珠が立ち上げた事務所がというのだ。
「スタッフ送るマネージャーもそのままね」
「一緒ですか」
「それで働いてもらうから」
「そこまでしてくれますか」
「系列事務所になるからね、それでどうかな」
「じっくり調べさせてくれますか」
 あまりにもいい話なので内心不安になったのでまずはこう答えた。上手い話には裏があるという言葉があるからだ。 
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