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金木犀の許嫁

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第九話 忍者は人を殺さないその二

「そんなことは」
「そうみたいね」
「毒でも塗っていないと」 
 刃身にというのだ。
「そんなの無理」
「刃身が短いから」
「そして」
 そのうえでというのだ。
「重いから」
「鉄だしね」
「多く持てないし」
「漫画だと一度に何発も投げるけれど」
「両手を使って」
「そうそう、オーバースローとサイドスローでね」
 その両方を使ってというのだ。
「助走なしで何メートルもジャンプしながら」
「それも無理だから」
 佐京はジャンプのことも話した。
「絶対に」
「そうよね」
「出来るとしたら」 
 それはというと。
「漫画」
「まさにそれね」
「そう、オリンピック選手でも無理」
 助走なしに何メートルも跳ぶことはというのだ。
「手裏剣を一度に数発投げることも」
「それで敵を一発で倒すことも」
「あと鎖かたびら着て素早く動くことも」
 これも忍者漫画ではよくあることだ、忍者装束の下にそれを着込んでそのうえで戦っていたりするのだ。
「無理だから」
「そうなの」
「重いから」
 鎖かたびらもというのだ。
「鎖はつまり鉄だから」
「無理なのね」
「赤穂浪士の人達は着ていた」
 あまりにも有名な彼等はというのだ。
「用心で」
「討ち入りの時に」
「そうしていたけれど」
 それでもというのだ。
「ああした時は着られる」
「武士が戦う時は」
「新選組の人達と同じね」
「そう、けれど忍者は跳んで長い時間隠れたり水に潜ったりする」
「そうするから」
「鎖かたびらは重くて着られない」
 忍者が活動する時にはというのだ。
「とても」
「そうなのね」
「忍者は身軽であること」
 何といってもというのだ。
「それが大事だから」
「それでなのね」
「手裏剣は武器としては滅多に使わないし」
 投げて、というのだ。
「鎖かたびらもそう」
「着ないのね」
「そう。忍者は戦う人じゃない」
「何か世界的に誤解されていますが」
 白華はそれでもと話した。
「断じてです」
「戦う人達じゃないのね」
「何度も申し上げます」
「忍者部の部活もそう」 
 佐京は学園の部活の話もした。
「俺達も忍者部だけれど」
「格闘技はしないのね」
「トレーニング、稽古はよくするけれど」
 それでもというのだ。
「格闘はしない」
「そのことを間違えて入部する人いるのね」
「特に外国の人で。学園に長い間いますと」
 八条学園にというのだ。 
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