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ハッピークローバー

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第百二十話 客家その十三

「怪しいわ」
「自分勝手過ぎて」
「そう、それですぐに人のことを悪く言うなら」
「好かれる筈ないわね」
「それでそんな何の努力もしない奴なんて力持つことはね」
「ないわね」
「最初は誰だって何の力もないわ」
 そうだというのだ、事実人間は最初は白紙の状態サルトルの言うタブラ=ラサの状態であり力も何もないのだ。
「それを努力してね」
「力もつけていくのね」
「そうよ、だからね」
 それでというのだ。
「そんな奴はどうせ何の努力もしないわ」
「相手のことを何も知ろうともしないし」
「ただ口で罵ったりするだけで」
「何の力も持てないのね」
「そうしたものよ」
 妹に酒の缶を出しつつ言った、五百ミリリットルのアルコール度九パーセントのもので何本かある。
「所詮はね」
「そんなものなの」
「数があったら数を頼みに何をするかわからないけれど」
 そうしたケースもある、無力な者達も集まるとそれなりの力になるものだ。
「けれど一人一人だと」
「何でもないのね」
「そうよ、まあ一人だと誰でも無力だけれどね」
 姉は鮭を飲みつまみのカップ焼きそばを食べつつ話した。
「そうした奴は尚更よ」
「何の努力もしていないから」
「ただでさえ人は一人だと無力なのに」
「努力していても」
「それで何の努力もしてないとね」
「余計に無力なのね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうした人達はね、まそんな人は反面教師にしないとね」
「そういうことね」
 富美子もカップ焼きそばを食べた、そして酒も飲んで話した。
「自分達は努力することね」
「そういうことよ、というか台湾のことちょっと調べたら」
 どうかとだ、姉は言った。
「客家の人もいて少数民族が多いこともね」
「わかることね」
「亜熱帯で毒蛇が多いこともね」 
 このこともというのだ。
「わかるわよ」
「そうよね」
「だからあそこの山にはね」
「迂闊に入らないことね」
「危ないからね」
「そうよ、まあ血清あるけれどね」
 蛇のそれがというのだ。
「使わないに越したことないから」
「やっぱりそうよね」
「だから最初からよ」
「危険なところには行かない、ね」
「そうよ」
 二本目の酒を飲みつつ話した。
「それに越したことないわ」
「そういうことね」
「ええ、ただ猛獣はね」
「台湾はいないのね」
「そうみたいね」
「そうなのね」
「何か昔はウンピョウがいたけれど」 
 やや大型のネコ科の生きものである。
「今はいないみたいだしね」
「ウンピョウって中国の南の方にいる」
「そうそう、虎や豹より小さいね」
「ああした生きものよね」
「昔は台湾にもいたけれど」
 そうであったがというのだ。 
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