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夢幻水滸伝

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第三百三十八話 幻術師の活躍その十二

「お肉もです」
「食べられてますか」
「それも広く」
 そうだというのだ。
「そうなっています」
「そうなんですね」
「それで美味しいですね」
「かなり。お酒にも合います」
 赤ワインを飲みつつ答えた。
「ほんまに」
「それは何よりです。それではご返答は」
「後日ですね」
「お聞かせ下さい」
「わかりました、ただ平和であってこそ」
 ミニーは駝鳥の卵のオムレツをさらに食べつつ言った。
「こうしたものも食べられますね」
「平和でなければ」
 貴婦人も確かな顔と声で答えた。
「家畜を飼育することもです」
「出来ませんね」
「産業自体が成り立ちません」
「その産業があってこそ豊かになりますね」
「人も街も村もそうであって」
 そしてとだ、貴婦人はさらに話した。
「それにです」
「このユヤ州もそうですね」
「駝鳥で生計を立てている人もいます」
「そうした人達が暮らせる様にするには」
「企業の経営だけで充分か」
「そのことも考えることですね」
「そう思われますね」
 ミニーを見てだ、貴婦人は微笑んで述べた。
「今は」
「はい、ほなです」
「お考えになって下さい」
「そのうえで決めます」
 貴婦人に答えてだった。
 ミニーはメインの駝鳥の腿肉のローストも食べデザートのアイスクリームもワインも満喫した。そうしてだった。
 数日後ミニーは自分から貴婦人の屋敷を訪れて彼女に告げた。
「州の棟梁にならせてもらいます」
「決断されましたね」
「ずっと考えましたけど」
「企業経営ではですね」
「ユタ州を救うだけでもです」
「足りませんね」
「政で」 
 そちらでというのだ。
「やっていってこそです」
「このユタ州を救えますね」
「はい」
 まさにというのだ。
「そう結論が出ました」
「わかりました、ではです」
「旗揚げをですね」
「宣言されて下さい、そして」
 貴婦人はミニーに微笑んで話した。
「即座にです」
「州全体を治める官僚組織の立ち上げですね」
「そちらをお願いします」
「そしてそこに人を入れていきますね」
「そうされて下さい」
「ほなそうしていきます」
「ではこれからお願いします」
 貴婦人はミニーにあらためて告げた。
「このユタ州ひいてはです」
「この世界をですね」
「救って下さい」
「そうしていきます」
 ミニーも約束した、その返答だった。
「必ず」
「期待しています、そして」
「そして?」
「私は今残念に思っています」
 実際にそうした顔になってだ、ミニーに言うのだった。 
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