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神々の塔

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第五十九話 荒野の宗教その十三

「休むのだ」
「ほな不眠不休は」
「神は許されない」
 綾乃に絶対にと答えた。
「そのことは覚えておく様にな」
「やっぱりそうですね」
「だからそなた達もだ」
「休むことですね」
「今からな、ただ」
 ウリエルはこうも言った。
「そなた達飲むつもりだな」
「お風呂に入って身体を清めて」
 それからとだ、綾乃はウリエルに素直に答えた。
「そのうえで」
「そうだな、出来ればな」
「飲まへんことですか」
「大食もだ」
 こちらもというのだ、飲むとなれば当然馳走も用意されて口にする。神霊もそれがわかっているから言うのだ。
「望ましくない」
「やっぱりそうですか」
「だがそれも楽しみだ、あまり厳しいとな」
 人にそう教え禁じると、というのだ。
「他の神界の者達も言うしな」
「言わへんですか」
「程々にな」
 いささか不本意な様子でだ、ウリエルは述べた。
「飲んでだ」
「食べることですか」
「そう言っておく」
 こう言うのだった。
「あくまでな」
「程々ですね」
「溺れぬ様にな」
「お酒に美味しいものに」
「それは言っておく、いいな」
「まあそう言われても」
「飲んで食するな」 
 もうわかっているという返事だった、それが顔にも出ている。
「なら仕方ない、たらふくはいい」
「溺れんかったら」
「それでいい、ではな」
「休んでそのうえで」
「楽しむのだ、仕方ない」
 ウリエルもそして見れば他の天使達も不本意そうだった、だが。 
 それでも一行は飲んで食べた、そして彼等に健闘を祈ると言われ上の階に行くときに見送られた、だがこの時も彼等は不機嫌そうであった。


第五十九話   完


                   2024・1・23 
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