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金木犀の許嫁

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第七話 同居のはじまりその四

「かなりね」
「あれなことですね」
「そうよね、あれよね」
「脚気のことも含めて」
「その人そんなこと知らなかったみたいね」
「知らないからキャーキャー言ってましたね」
「知っていたらね」
 それこそというのだ。
「言えないわよ」
「とても」
「あの人のことでね」
「はい、ただ俺高瀬舟は好きです」
 森鴎外のこの作品はというのだ。
「読んでみましたけれど」
「そうなのね」
「やったことは兎も角で」
「ミーハーな人もどうかと思うけれど」
「この作品は好きで」
 それでというのだ。
「山椒大夫なんかもです」
「好きなのね」
「はい、それで福岡も」
 この場所もというのだ。
「好きです」
「そうなのね」
「賑やかで明るくて」
 そうした地域でというのだ。
「とても」
「あそこはそうした場所ね」
 真昼も言った。
「私達も行ったことあるけれどね」
「そうですか」
「旅行でね」 
 それでというのだ。
「言ったのよ」
「うちもです、ハウステンボスに行って」
「私達も行ったわ」
「その時に」
「一緒ね、博多に一泊して」
「行きましたね」
「ハウステンボスに行く前に」
 ハウステンボスは長崎県佐世保市にある、軍港で有名なこの街に出来たもう一つの名所となっているレジャーランドだ。
「行ったわ」
「それでラーメンも食べましたか」
「あっちのラーメンもいいわよね」
 真昼は今はざるそば引っ越し蕎麦であるそれをすすりつつ応えた。
「美味しいわ」
「そうですよね」
「濃厚な豚骨スープとね」
 白いそれ、というのだ。
「それとね」
「細い麺の組み合わせが」
「最高でね」
 それでというのだ。
「滅茶苦茶美味しいわね」
「本当にそうですね」
「博多といったらあれね」
「まさにそうですね、そして」
 佐京は納豆巻きを食べつつ言った、四人共その寿司も食べている。
「俺は長崎ちゃんぽんも好きです」
「あれも美味しいわよね」
 今度は夜空が応えた。
「私も好きになったわ」
「ハウステンボスに行ったから」
「あそこ長崎だしね」
「あのちゃんぽんも食べる機会あったから」
 それでというのだ。
「食べてみたら」
「美味しかったわね」
「中華街にも行ったけれど」
 長崎のそこにというのだ、今佐京が暮らしている神戸にもあるし横浜にもある。かつては大阪にもあった。 
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