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ハッピークローバー

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第百十九話 他の国から見ればその四

「ユダヤ人とかロマニとか」
「ああ、そうしたお話ね」
「ナチスだけじゃないし」
 あまりにも有名なこの政権に限らないというのだ。
「欧州での差別とかってね」
「日本より遥かに酷くて」
「もう人間としてもよ」
「扱われないのよね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「スペインもユダヤ人とかロマニの人達追い出したことあったし」
「ああ、統一してから」
「カルティーリャとアラゴンがね」
 この二国がというのだ。
「王様と女王様が結婚して」
「スペイン王国になって」
「レコンキスタ完成させて」
 イスラム教徒を完全にスペインから追い出したのである、そして同じころにコロンブスがアメリカ大陸に到達していてコンスタンティノープルも陥落している。
「それでね」
「それからよね」
「どっちの人達も追放したのよ」
「ユダヤ人もロマニの人達も」
「そうだったしね」
「他の国でもあったのね」
「むしろドイツはね」  
 ナチス、ユダヤ人やロマニを徹底的に迫害しその命を奪ってきた彼等を生み出したこの国はというのだ。
「歴史を見たらましだったのよ」
「そうみたいね」
 一華もそれはと答えた。
「どうやら」
「むしろロシアとかが厳しかったのよ」
「ユダヤ人には」
「それであちこちで何かあったら」 
 それこそ疫病が流行してもというのだ。
「そうした人達のせいにされたから」
「日本の差別の比じゃないのね」
「もうね」
「そうなのよね」
「あの、関東大震災で」
 大正末期に起こったこの恐るべき災害もというのだ。
「韓国人が井戸に毒を放り込んでるってね」
「そのお話出てね」
「自警団の人達が騒いだけれど」
 当時治安が悪化して火事場泥棒が多くなっていた為だ。
「すぐに警察が止めたでしょ」
「署長さんが井戸のお水飲んでね」
「そうして毒が入っていないって証明してみせて」
 自らの身を以てだ。
「そうもしたでしょ」
「あの時はね」
「警察つまり政府がすぐに止めたって」
 そのデマを否定してだ。
「それってね」
「かなり凄いことなのね」
「欧州を見たら」
 それこそというのだ。
「凄いことよ」
「そうなのね」
「それもすぐにって」
「日本の差別はましな方ね」
「アイヌの人と結婚してもいいわよね」
「別にね」
 明治政府が北海道開拓の中で認めたことだ、尚その際アイヌの人達の農業従事も義務教育への参加も認めている。 
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