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第百十九話 他の国から見ればその一

                第百十九話  他の国から見れば
 一華は昼休み調べたいことがあり高等部の総合図書館に入った、すると入り口で中学時代親しかったスペインの娘と会ってだった。
 調べつつ話をしたがふとだった。
 一華が持っている本にチェ=ゲバラの写真があってその娘は言った。
「私その人好きなのよね」
「チェ=ゲバラが?」
「イケメンでしょ」
 まずは彼の顔立ちのことを話した。
「かなりね」
「確かにね」
 一華も本の彼の写真を見て頷いた。
「ちょっとキューバの野球の古都調べてて」
「キューバについての本も読んでてね」
「出て来たけれど」
 ゲバラの写真が本にあったのだ。
「この人自体は野球してないわね」
「サッカーとか好きだったみたいね」
「アルゼンチン生まれでね」
「あそこも我が国もサッカーだしね」
 一華に笑ってこうも言った。
「それでね」
「そうよね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「私ゲバラさん他の理由でも好きなのよ」
「イケメンだからだけじゃないの」
「生き方も恰好よかったでしょ」
 彼のそれもというのだ。
「自分から危険な任務志願して戦って」
「戦士よね」
「共産主義がどうとかじゃなくて」
「生き方が好きなのね」
「戦士って感じでね、それにね」
 スペインの娘はこうも言った。
「ゲバラさんバスク人だしね」
「あっ、そうなの」
「そうよ、ザビエルさんもよ」
「ザビエルさんってフランシスコ=ザビエルさん?」
「日本に来たね」
 日本に最初にキリスト教を伝えた人物である。
「イエズス会の」
「あの人よね」
「あの人もバスク人だったのよ」
「へえ、そうだったの」
「それで私バスク人の血引いてるのよ」
「そうなのね」
「セビーリャ生まれだけれど」
 スペインのこの街のというのだ、カルメンやタイトル通りのセビーリャの理髪師等の歌劇の作品の舞台にもなっている街である。
「ひいお祖父ちゃんの一人がね」
「バスク人なの」
「ひいお祖父ちゃん今九十でね」
 それだけの年齢でというのだ。
「ピンピンしててね、大好きなのよ」
「その人がバスク人だから」
「ゲバラさん好きなのよ」
「そうなのね」
「いや、バスクって聞いてるでしょ」
 スペインの娘は一華に微妙な顔になってこうも話した。
「独立とかね」
「揉めてるわね」
「ずっとね、結構差別もね」
「されてきてるみたいね」
「スペインの中でね、カタルーニャと同じで」
 この地方の人達と、というのだ。
「バスク語喋るなとか言われた時期もあったし」
「バスク語ってスペイン語と違うの」
「違うのよ、何か滅茶苦茶難しいって」
 その様にというのだ。
「言われるしね」
「そうなのね」
「結構スペインじゃ色々あるのよ」
「バスクの人は」
「こうしたことってあるわよね」
「その国によって」
「イギリスもあるでしょ」 
 スペインの娘はこの国の話もした。 
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