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カブトムシと粘土

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第一章

                カブトムシと粘土
 アッサム地方南部のガロ族に伝わる話である。
 世界は水しかなくその上には暗黒しかなかった、兎角味気ない世界であった。
 神の一柱であるタタラ=ラブカは若々しい青年の姿で強く明るい目を持つ彼はその状況を見て考えた。
「こんな味気ない世界ではいてもつまらないな」
「ではどうされますか」
 彼に従う精霊ノストゥ=ノーパンが聞いてきた、見れば薄い青の丸い光である。
「そうだな、もっと賑やかな世界にするか」
 こう言うのだった。
「幸い生きものはいるしな」
「はい、ですが世にあるのはです」
「水と暗闇だけだな」
「他は何もありません」
「ではまずはだ」
「まずは?」
「私はそなたと結婚するか」
「私とですか」
「そなたを女神にしてな」 
 そうしてというのだ。
「妻としてだ」
「そうしてですか」
「人を生みだそう」
 そうしようというのだ。
「この度はな」
「そうされますか」
「では女神の姿になるのだ」 
 タタラはノストゥに告げた、するとだった。
 精霊は美しい女の姿になった、神は彼女に服を着せると夫婦になると宣言し彼女も頷いた。だがそれと共にだった。
 女神は足下を見てだ、こう言った。
「神々は漂えるので大丈夫ですが」
「人間だとか」
「漂えず飛べるのでしょうか」
「いや、神の力がなく翼や羽根がないとな」
 それならとだ、タタラは自分達の周りを飛ぶ鳥や虫達を見つつ話した。
「無理だ」
「左様ですね」
「そして人間は水を飲むがその中では暮らせない」
「やはり神でないので」
「頭はよく色々なことが出来るが」
 それでもというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「そうしたことは出来ない」
「左様ですね」
「だから水の下には土があるが」
「その土をですね」
「水の上にやってな」
 そうしてというのだ。 
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