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ハッピークローバー

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第百十八話 戸籍謄本その十

「これからもよ」
「付き合っていっていいのね」
「ええ、成海ちゃんがどんな生まれでもね」
「そうなのね」
「いいわよ」
「お父さんも同じだ、ただな」
 父は娘に釘を刺す様に告げた。
「あまり変なことはするな」
「ああ、そういうことね」
「まだ高校生だからな」
 それ故にというのだ。
「お父さんをお祖父ちゃんにするなよ」
「そういうことね」
「それだけは守れよ」
「そういうことしてないから」
 かな恵は父に口を尖らせて答えた。
「私も」
「何だ、していないのか」
「全くね」
「成海君も言わないのか」
「成海っち?言わないわよ。就職してからってお互い言ってるから」
「八女学園は結婚してもいいんだぞ」
 校則で学生結婚は禁止していないのだ、父も八条学園出身もっと言えば母もそうであるのでこのことを知っているのだ。
「それでもか」
「結婚ってとても」
「しないか」
「十六よ、私も成海っちも」
「だからか」
「私はもう出来るけれど」
 法律のうえでというのだ。
「十六だから。けれど」
「成海君は十八になってからだな」
「だからね、というかお祖父ちゃんになるって」
「そうならないならいいぞ」
「そうなの」
「成海君だったらな」
 娘に笑顔で話した。
「いいぞ」
「そうなのね」
「そうだ、ただな」
「ただ?」
「二人共奥手過ぎるな」 
 こうも言うのだった。
「本当に」
「そう?」
「そう思うぞ、お父さんはな」
「というか姉ちゃんも成海さんも変に真面目なんだよ」
 弟がどうかという顔で言ってきた。
「本当にな」
「真面目かしら」
「っていうか何もないんだよな」
「手つないで酔った時おんぶしてもらってるわ」
「中学生かよ」
 明男は思わずこう返した。
「それ何だよ」
「駄目?」
「いや、何もなさ過ぎだろ」
「手をつないでも?」
「そうだよ、奥手過ぎるだろ」
「そう言われても。先輩もね」
「先輩?」
「料理部の西宮夜空先輩ね」
 この名前を出して話した。
「その人許嫁おられるけれど」
「何もなしかよ」
「みたいよ」
「許嫁って古いけれどな」
 それでもとだ、明男はその話を聞いてまた言った。
「もう将来結婚するんだよな」
「そうよね」
「だったらな」 
 それならとだ、姉に言うのだった。
「何してもな」
「いや、何してもって」
「多少以上のことしてもな」
 恋愛関係の中で行われることをというのだ。 
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