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珍しいライオンと思ったら

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第二章

「前足の辺りにまであるね」
「そうね」 
 志保も言った。
「このライオンは」
「珍しいね」
「そうよね」
「ええと、別のコーナーになってるけれど」
 正幸はそのライオンを見てさらに言った。
「このライオンは」
「どんなライオンかしら」
「ええと」
 正幸はそのライオンの説明を見た、そこに名前もあったが。
「バーバリーライオンって」
「知ってるの」
「いや、このライオン確か」
 妻に驚いた顔で言った。
「絶滅したんじゃ」
「そうなの」
「うん、その筈だよ」
 驚いた顔のまま言った、そしてだった。
 動物園の人に聞くとだ、こう言われた。
「実は絶滅していなかったんです」
「バーバリーライオンはですか」
「はい」 
 そうだというのだ。
「とある王家が飼育していまして」
「そうだったんですか」
「絶滅したと思われていたのが」
 それがというのだ。
「生き残っていまして数もです」
「増やされていてですか」
「こちらの動物園にもです」
「来たんですね」
「はい」
 そうだというのだ。
「この様に」
「そうですか、いや驚きました」
 実際に正幸は動物園の人にそうした顔を見せていた、そのうえで言うのだった。
「バーバリーライオンが生きていて」
「この動物園にいてですか」
「この目で観られて」
「それは何よりです、それではです」
 動物園の人はにこりと笑って話した。
「満足されるまでです」
「バーバリーライオンを観ていいですね」
「はい、そうして下さい」
「わかりました」 
 笑顔でだった、正幸は動物園の人の言葉に頷いてだった。
 妻と子供達と一緒にバーバリーライオンを観た、そうして子供達にこのライオンのことを説明した。説明するその顔はまるで子供の様に純粋で明るいものだった。


珍しいライオンと思ったら   完


                 2024・2・22 
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