| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

わんねー あいつに責任とってもらう だけど好きになっただけヤ

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

13-8

「今度の日曜の試合 1番美鈴 2番沙菜 3番栞奈でいくぞ さくらも美玖も抜けるけど、頑張って行こう ある程度は、バックス主体でな」と、紅林監督が

「あっ そうか 二人とも 全国大会控えてるもんなー ウチ等も頑張るよ」と、璃々も頷いていた。

「それと、京都代表とは 次の日曜に決まった。市のグラウンドでな ただ、協会の人がこの地域の選抜チームということにして欲しいって言った来たんだ。一応、市のグラウンドも選抜チーム同士の強化試合という形で、費用も協会が負担するらしい。・・・それで、金剛彩をメンバーに加えて欲しいって・・・どうだろう? みんな」

「えぇー 彩は悪うないけどなぁー キャンキャンズであかんのかー?」と、私は、少し不満だった。

「でも それも キャンキャンズの全国への 一歩と考えたらええんちゃう? ウチ等二人にも 桜中を少しでも知らしめてくれたらって、みんな勧めたんかー」と、さくらが進言してきた。

「そーだよ どっちみち 秋もキャンキャンズでは アカンねんから 一緒よ それに、彩も仲間みたいなもんやー」と、璃々の一言で決まった。

 次の日、璃々から彩にその旨を伝えると、飛び上がるように喜んでいたのだ。その日から、紅林監督が練習で厳しいことを言ってきた。

 練習は最初ジョギングから始めるのだけど、2周の後、グラウンドの端から端まで、ひざを抱えてかがんだ後、ジャンプして5歩走って、又、かがんでジャンプして進めと、その後、柔軟体操して、腹筋と・・全力ダッシュを3往復と。練習も3人ずつがタックルして、他の者が蹴ったボールを追いかけるのだ。ラインパスの練習よりもそーいった練習に時間を割いていた。そして、練習の終わりにも、かがんでジャンプ走ってをグラウンド1周 やるのだ。途中でくたばる者も居た。終わると、みんながグラウンドにへたり込んでいたのだ。

「急に 練習きつ~うなってきたやんかー 身体 ガタガタやー 辛いわぁー」「そうやー ウチも もう ついていかれへんわー」と、1年生達も言い出していた。確かに、私達2年生でも辛いのだ。さすがに、3年の二人は平気な顔をしていたが、でも、きっと、きついはずだ。

 私は、たっ君と、あんなことがあったけど、逆にスッキリして、練習にも打ち込めていたのだ。絶対にウチ等の実力を見せてやると喰いしばっていた。

 試合前になって、1年生達が話したいことがある美鈴と璃々を呼んでいた。どうも、練習についてのことらしい。帰る時、私と泉希が璃々にそのことを問い詰めると

「う~ん あの子等ね 練習が厳しくて、辛いんだって このままじゃぁ続けられないって言ってきたのよ」

「そんなん ウチ等やって辛いヤン でも なにーくそーって思うから・・」

「でもね 体力的な違いもあるからね ウチは 今まで、みんな よく 付いてきてくれたと思ってるって言ったよー タックルの練習だって文句も言わないでこなしてきたし・・・ 美鈴と鈴花のことも引き合いに出して、この二人は後から入ってきたのだけど、追いつこうと二人で頑張ったんだよ きっと、辞めようと思ったこともあると思う だけど、人一倍喰いしばってきたんだよ もちろん、他のメンバーも努力してきたんだよ 何でかわかる? 一つは、みんなラグビーが好きなの もう一つは全国に行くって目標があるの 頑張れば全国って近いんだよ 女子ラグビーはね 特に、中学生はネ! ウチ等 2年生は絶対に全国に行く 3年生の二人だって 現実になってるじゃぁない その後を引き継ぐのはあんた等だよ だから、みんなで励まし合って、頑張ろうよー 今が、頑張り時だよ ウチ等だって、今の練習はきついんだよ だけど、監督も無茶言い出したんじゃぁないと思うの きっと、考えがあってのことだからー って言い聞かせたの わかってくれたと思うよ」

「ふ~ん 璃々って すごいネ 優等生的対応! さすが キャプテン」

「ふふっ あの子達 言ってたよ 私達はみゅん先輩みたいに 脚にバネも付いていないし、タフだし、あんな野生児みたいじゃぁないですから 一緒にされても 無理ですって」

「なっ 野生児ってなによー あいつらぁー こんな可愛い娘に向かってぇー」

「あーそれっ あたってるぅー」と、泉希もからかってきていた。

 そして、試合の当日、午前中は学校で軽く練習をして、向かう前、紅林先生はみんなに

「どうして練習内容を代えてきたか わかるか?」

「そらぁー 体力強化なんちゃう?」と、私が言うと

「まぁ そーなんだけど さくらは?」

「うち等は バックアップが遅いからです それを補うためにあの練習を・・」

「そうだ 前の防御 タックルは完璧なんだが、デイフェンスラインの後ろにキックで攻められると、璃々と朝陽に任せっきりで、フォローアップも遅い 特に、フォワードの後ろなんかを攻められると簡単に突破されてしまう だから、身体が直ぐに対応できるような練習をさせてきたつもりだ まだ、数日だけど、今日の試合は、そのことを頭入れてやれ! 向こうは、リベンヂって言ってきてるんだ その作戦でくるはずだからな 絶対に、みんなでカバーして 0点に抑えるんだぞ 次の京都戦の為にもな!」監督の言葉は、今までに無いほど激しかったのだ。

 その日の試合は、ラインに回したボールを朝陽が抜けて、後ろについていた私がリターンをもらってのトライから始まって、前半は19-0。向こうのキック攻撃もフォワード陣、私と泉希がバックアップして防ぎ切っていたのだ。そして、後半には、突っ込んで行った璃々にフォローしていた栞奈から沙菜へと・・・沙菜の初トライだった。結果は26-0。又、キャンキャンズの快勝に終わっていたのだ。

 試合が終わった後、1年生のみんなで沙菜を囲んで、讃えていたのだ。私は、その光景を見て、これで きっと みんな続けてくれるよねーと祈っていた。その後、オブザーバーで見に来てくれていたさくら先輩と美玖先輩は1年生達を集めて、何か話をしている姿があったのだけど・・・。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧