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漫画を描ける喜び

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第一章

                漫画を描ける喜び
 工事現場で作業員をしている赤田読経は密かな趣味がある、それを会社の先輩の青木桐鷹に話した。
「俺漫画描いてるんでよ」
「それは意外だな」
 青木はこう赤田に返した、二人共肉体労働をしているので逞しい身体をしていて作業服が似合っている。赤田はやや小柄で癖のある茶色の髪の毛と赤売り顔立ちである。青木は大柄で長方形の顔で黒い目は細い。今は仕事の休憩中で一緒にお茶を飲んでいる。
「お前が漫画ってな」
「子供の頃から漫画が好きで」
 赤田は笑って話した。
「それでなんですよ」
「自分でもか」
「描きたくなって」
 それでというのだ。
「描いてそうしたサイトで、です」
「漫画投稿サイトか」
「はい、そこに投稿してます」
「最近多いよな」
「小説でもイラストでもですね」
「AIイラストなんてのもあるよな」
「ありますね」
 赤田もそれはと答えた。
「そういうのも」
「それでか」
「俺は漫画描いて」
 そうしてというのだ。
「そうしてです」
「投稿してるんだな」
「パソコン利用して描いています」
「昔はGペンとかだったな」
「俺はそっちじゃなくて」
 そうしたもので描かずというのだ。
「デジタルですね」
「そっちで描いてるんだな」
「そうです」
 青木に笑顔で話した。
「毎日仕事が終わったら」
「描いてるか」
「そうしてます。応援のコメントも」
「来てるんだな」
「面白いって」
「そういうの来たら熟れしいか」
「滅茶苦茶嬉しいですよ」
 実際にというのだ。
「最高ですよ」
「そうなんだな」
「ええ、ですが」 
 赤田は残念そうにこうも言った。
「面白くないとか」
「そうしたコメントもか」
「来ます、ですが」
「それでもか」
「漫画描いて投稿出来るんですから」
 だからだというのだ。
「最高ですよ」
「そうなんだな」
「はい、本当に」
 こうしたことを話すのだった、そしてだった。
 彼は仕事に戻った、当然青木もだ。青木はこの時はそれで終わったが後日昼食のうどんをうどん屋で一緒に食べている時に尋ねた。
「漫画って雑誌とかに載るよな」
「昔はそればかりでしたね」
「そっちには載らなくていいんだな」
「人気が出たら声かかりますよ」
 赤田はその時はと答えた。
「やっぱり」
「プロデビューか」
「はい」
 まさにというのだ。 
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