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ハッピークローバー

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第百十七話 運動会が近付きその六

「誰もね、かつての家族すらね」
「何も思ってないのね」
「ご近所とか学校で迷惑受けてた人達なんか」
 そうした人達はというと。
「大喜びらしいわ」
「相当嫌われてたのね」
「本当に最低な奴だったからね」
 だからだというのだ。
「もうね」
「死んでもなの」
「誰も悲しんでないわ」
「清々してる?」
「してるわ」
 留奈ははっきりと答えた。
「私にも色々意地悪して来て」
「誰にもなのね」
「嫌なこと一杯言ってきたしね」
「それで嫌いなのね」
「偉そうに言って」
 そうしてというのだ。
「最底辺の学校しか行けなくてスポーツもね」
「駄目だったの」
「お金もないし権力もなくて」
「何もなしね」
「性格もそんなので」
「しかも留奈ちゃんにも色々やってきたから」
「変なことはされなかったけれど」
 それでもというのだ。
「本当にね」
「嫌な人で」
「悪いことなんてね」
「色々言われてされてきたから」
「大嫌いだったのよ」
「そこまでだったのね」
「親戚も皆そうよ、いや死んでくれたことが」
 まさにこのことがというのだ。
「あいつの唯一のいいことよ」
「死んで有り難うね」
「そうよ、ドクズの中のドクズだったから」
「本当に最低な人だったのね」
「ちなみに外見も悪くてね」
 そちらのことも話した。
「いいとこを探しても」
「なかったのね」
「ええ、人間の出来損ないともね」 
 その様にもというのだ。
「言っていいね」
「そうした人で」
「そいつのことから言うのよ」
「夏以外は夜は寝られないのね」
「お外ではね」
「そうなのね」
「本当に夜の間はずっと歩いて」
 ただひたすら歩くという、目的があるとすれば生きる為だ。その為に夜は歩いていくということだ。
「お昼にね」
「寝るのね」
「兎に角ね」
「夜は冷えるから」
「特に明け方がね」
 夜明け前がというのだ。
「一番冷えるから」
「その時に夏以外で夜寝てたら」
「危ないらしいわ」
「そうなのね、はじめて知ったわ」
「だからホームレスでなくても」
 そうであってもというのだ。
「野宿する時はテントかね」
「寝袋ね」
「そうしたものに入って」
 そのうえでというのだ。
「寝ることよ」
「そうしないと駄目ね」
「理想はテントを張って」 
 そうしてというのだ。 
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