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星河の覇皇

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第八十五部第五章 北京宣言その五十八

「幾ら敵を騙すには味方からでもな」
「騙される方がどうかしていますね」
「急に変わった位で騙されては」
「それでは」
「そうだ、実際は幕府も吉良家も何時かやると思っていた」
 幕府もというのだ、既に念入りに警戒して武器まで用意していた吉良家だけでなく彼等もというのである。
「だから面倒な騒動になってもな」
「それでもですか」
「やると思っていたからこそ」
「それ故にですか」
「吉良家を江戸の外れに置いた」
 そうしたというのだ。
「騒動が起こってもな」
「それでもですね」
「被害が最低限で済む」
「そうなる様にしたのですね」
「そうだった、だからだ」 
 それでというのだ。
「幕府もわかっていた」
「そうして手を打った」
「そういうことですね」
「幕府にしても」
「その実は」
「大石の考えは見抜かれていたしだ」
 それにというのだ。
「そのうえでな」
「大石は動いた」
「赤穂浪士達もですね」
「そうしたのですね」
「そうだった、だからな」
 それでというのだ。
「実は違う、そして物語の大石に騙される様ならな」
「それならですね」
「政治家として失格なので」
「我々としましては」
「物語の吉良や赤穂浪士は反面教師ですね」
「そうだ、まあ今の中央政府で大石はいない」
 わざと昼行燈を装っている様な人物はというのだ。
「だが敵ならいる」
「それで、ですね」
「我々としてはですね」
「そこで人物を探す」
「そして手を打ちますね」
「その様にする、敵は全て警戒してだ」
 そうしてというのだ。
「そしてだ」
「手を打ちますね」
「愚かを装っている相手にも」
「そうしますね」
「見つけ出してな」
 こう言ってだった、キロモトは各国政府の如何なる人物にも目を光らせる様に命じた。中央政府と各国政府の政治闘争はここにはじまった。


第八十五部   完


                 2020・9・16 
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