| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

星河の覇皇

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第八十五部第五章 北京宣言その五十六

 これは幕府の面子に関わる、そして幕府は面子を何よりも重んじたのだ。
「それでだ」
「切腹でしたね」
「浅野の処分は」
「それになりましたね」
「重い処分と言えたが」
 それでもというのだ。
「幕府としてはおそらく切腹だけでもだ」
「寛容だった」
「そうした意識があった」
「そうした処分でしたね」
「そう思う」
 キロモトもこう言った。
「やはりな」
「それでもですね」
「あの様なお話になりましたね」
「随分脚色もされて」
「それで、ですね」
「そうだった、それでだ」
 キロモトはここで話を戻した。
「そうした脚色ばかりの話だが」
「大石も然りで」
「実際にはですね」
「そうしたことをしていたか」
「それはですね」
「不明だが」
 それでもというのだ。
「しかしな」
「それでもですね」
「馬鹿な振りをしている」
「そうしている相手はですね」
「その可能性があれば」
「その時はですね」
「そうだ」 
 まさにというのだ。
「その人物をな」
「よく見ることですね」
「長い期間」
「そうしてですね」
「よく見ることですね」
「僅かな期間そうしているならだ」
 それならというのだ。
「違う」
「左様ですね」
「その実はですね」
「そうしたことがありますね」
「大石の様に」
「大石は改易になりだ」
 その浅野家がだ。
「それから討ち入り直前までな」
「遊興に溺れたふりをして」
「仇討ちなぞ忘れている」
「そう見せていましたね」
「これでは吉良もよく見ればだ」
 そうしたらというのだ。
「わかった筈だ」
「確かにそうですね」
「これは物語の忠臣蔵ですが」
「そうなりますね」
「若しよく見ていれば」
「宋だった、だが我々は物語の吉良とは違う」
 その彼とはというのだ。
「だからだ」
「見極めることですね」
「そうした人物は」
「よく調べて」
「昼行燈はわかるものだ」
 必ずというのだ。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧