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星河の覇皇

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第八十五部第五章 北京宣言その五十三

「わかっている人物はな」
「別にいいですね」
「警戒せずとも」
「それでもですね」
「自分を愚かに見せている御仁もいればだ」
 そうした人物がいるのは事実だがというのだ。
「しかしだ」
「実際にそうである御仁もいますね」
「世の中には」
「正真正銘愚かである」
「そうした御仁も」
「中にはな、そこの見極めは重要だ」
 まさにというのだ。
「そして大事なのは最近ではなくだ」
「その人それぞれの人生ですね」
「それを見てですね」
「長く見て判断することですね」
「大石内蔵助だが」
 キロモトはこの人物の名前も出した、日本の忠臣蔵の主人公である。
「この御仁は主家改易から敵討ちまではだ」
「昼行燈でしたね」
「遊郭に入り浸って遊んでいた」
「左様でしたね」
「そうだったが」
 遊女に尼僧の恰好をさせて遊ぶのを好んでいたらしい、そしてその中で特に親しくなった者との間に子もなしたという。
「しかしだ」
「それは違っていた」
「主君の仇討成功の為の策でしたね」
「相手を油断させる」
「その為の策でしたね」
「自分は愚かで敵討ちなぞ考えていない」
 その様にというのだ。
「相手に見せていたのだ」
「その吉良上野ノ介に」
「そうさせてですね」
「そしてですね」
「油断させてですね」
「そうだったと言われているが」 
 しかしというのだ。
「それでもだ」
「大石という人物をよく見れば」
「それで、ですね」
「わかったかも知れないですね」
「吉良側にしても」
「家老としての働きにだ」
 十九歳でなっている、若年の頃から要職にあったのだ。
「そして家が潰された時の動きや言葉だ」
「そうしたものを見ればですね」
「大石の実態がわかった」
「そうだったかも知れないですね」
「最近だけを見てはだ」
 それではというのだ。
「わかるものではない」
「その人物がどういった人物か」
「愚か者か切れ者か」
「それはですね」
「切れ者が急に愚かになる」
 この場合はというと。
「これは怪しい」
「その実は、ですね」
「左様ですね」
「だから注意しなければならないですね」
「最近急にそうなる場合は」
「そうだ、吉良側が注意していればな」
 その場合はというと。 
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