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夢幻水滸伝

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第三百三十四話 フェニックス攻略その十一

「後ろからエリカちゃんの軍勢も来る」
「ミルフォード陥落の報を聞いて」
「それで、ですね」
「そうしてこられますね」
「袋の鼠や」
 今の自分達はとだ、スタインベックは言った。
「それも食いものも武器もないな」
「これ以上の苦境はないですね」
「そう言うしかないですね」
「今我々が置かれている状況や」
「もう戦えん」
 この現実をだ、スタインベックは話した。
「戦っても負けるだけや」
「そうですか、ではです」
「ここはどうされますか」
「一体」
「降伏する」
 この決断を今述べた。
「そうするわ」
「そうですか、では」
「トウェイン様かエリカ様にですね」
「このことをお話されますね」
「そうする、ただおいらにも意地がある」
 こうも言うのだった。
「それでトウェインさんに一騎打ちを申し出る」
「えっ、一騎打ちですか」
「トウェイン様と」
「そうされるのですか」
「そや、自分等は全員そのまま降るが」
 将兵達はというのだ。
「おいらはその前にな」
「トウェイン様と一騎打ちですか」
「そうされてですか」
「どうされるか決められますか」
「このままやられっぱなしも癪わ」
 明るく笑ってこうも言った。
「そやからな」
「一度あの方と戦われ」
「そうしてですか」
「決められますか」
「そうするわ、ほなトウェインさんに言うわ」
 スタインベックはこの言葉と共にミルフォードでさらなる進軍の準備に入っていたトウェインに使者を送った、そしてだった。
 トウェインはその使者の言葉を聞くと彼も明るく笑って言った。
「その申し出受けるわ」
「そうして下さいますか」
「わいは六将星の一人や」
 武を司る星の者だからだというのだ。
「そやからな」
「一騎打ちの申し出をですか」
「何時誰でもそう言ってくれば」
 そうであるならというのだ。
「喜んで受ける、そやからな」
「スタインベック様とですね」
「一騎打ちするで」
 使者に笑顔で告げた、かくしてだった。
 両者は一騎打ちをすることになった、そこからすぐに何時何処で行うかが話されそれはミルフォードのアメリカンフットボールの競技場でとなった。
 トウェインはその真ん中に立ってだ、対峙するスタインベックに言った。競技場の観客席は両軍の将兵達と街の市民達で一杯である。
「お互い一騎打ちに勝ったらな」
「相手にその望みを聞かせますね」
「そういうことでな」
 こう言うのだった。
「ええな」
「はい、ほなおいらが勝ったら」
 スタインベックは笑顔で言った。
「ホイットマンはこっちも戻ってもらって」
「そしてやな」
「兵を退いてもらいますわ」
「何や、戦の勝ちやないか」
「この状況でそこまで言えへんですわ」
 スタインベックは少し苦笑いが入った明るい笑顔で応えた。 
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