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風紀委員から

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第二章

「それでなの」
「弁護士にならなかったんだ」
「司法試験に合格したから」
「そっちに進んだんだね」
「いや、弁護士も考えたのよ」
 山本は真面目な顔で答えた。
「そちらもね。けれどね」
「けれど?」
「弁護士の世界も色々あるのよ」
「間違ったことがあるんだ」
「変な。活動家みたいな人もいるのよ」
「ああ、学校の先生でもいるよ」
 坂本もそれはと応えた。
「おかしな人がね」
「いるでしょ」
「活動家みたいな、北朝鮮とか支持するみたいな」
「弁護士でもいるから」
「それでなんだ」
「そうした人達が力持ってるし」
「うちは私立だからね」
 坂本は自分の勤務先の話をした。
「そうした先生はいないけれど」
「公立多いらしいわね」
「そうなんだ」
「それで弁護士さんの世界はね」
「そうした人が力持っていて」
「組織まで持っているから」
「それも先生の世界と同じだね」
 坂本はつくづくという顔で応えた。
「ああいう活動家の人達ってね」
「自分達の考えばかりでしょ」
「それで他の人のことはお構いなしでね」
「しかも利権とかに汚いから」
「嫌だね」
「それでそうした人達が幅を利かせてるから」
 弁護士の世界はというのだ。
「行かないでね」
「検事になったんだね」
「そうなの」
「成程ね、それってね」 
 坂本は山本の話をここまで聞いて述べた。
「山本さんらしいかな」
「そうかしら」
「うん、真面目で正しいことをしたいっていう」
「検事になったことも」
「検事だと被告の人の真実を確かめるね」
「捜査してね」
「それだとね」
 そうした仕事ならというのだ。
「もうね」
「私に合ってるのね」
「弁護士よりもね、だからね」
 それでというのだった。
「これからも検事としてね」
「頑張っていけばいいのね」
「うん、やっていってね」
「そうしてくわね、やりがいのあるお仕事だし」
 山本も笑顔で応えた。
「頑張っていくわ」
「僕も頑張ってるつもりだし」
「お互い真面目に正しくね」
「やっていこうね」
「そうしましょう」
 笑顔で話した、そしてそれぞれのプライベートのことも話して同窓会での再会を楽しんだ。そして後日だった。
 二人共それぞれ家庭を持つこととなった、二人の家庭もそれぞれ真面目なものだった。二人共それを心から良しとして幸せな人生を歩んでいった。真面目に。


風紀委員から   完


               2023・8・15 
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