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危険物には触れないでおくこと

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第五章

「だから尚更ね」
「話せないな」
「ええ、今日はあの娘はそっとして」
「何も言わないことだな」
「そうしましょう」
 こうしてだった。
 一年G組はこの日咲に触れなかった、そうして一日を過ごした。そしてその翌日の朝のことだった。
 咲は登校してだ、難しい顔で言った。
「和田さんじゃなくてよかったけれど」
「それでもなのね」
「甲斐野さんね」
 自分の席の前に向かい合って座っている未晴に答えた。
「あの人が行くのよね」
「それでよね」
「いや、和田さんはね」
 咲は真面目な顔で話した。
「本当に何があってもよ」
「ホークスに必要よね」
「だから昨日はね」
 さらに言うのだった。
「本当なのかどうなのか」
「そのことでよね」
「疑ってね考えて」 
 そうなっていてというのだ。
「疲れたけれど」
「和田さんはなかったわね」
「ことの真相はわからないわよ」
 今回の騒動のというのだ。
「正直」
「こうしたお話ってわからないよ」
 竹山が咲のところに来て言ってきた。
「皆あれこれ言って」
「それでよね」
「何かと説が出るけれど」
 そうなるがというのだ。
「けれどね」
「真相はわからないわよね」
「和田さんが外れてたのはね」
 騒動の元凶であるこのことはというのだ。
「まあ多分ね」
「本当のことね」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「ソフトバンクのフロントは和田さんの獲得はないってね」
「思っていたのね」
「それで外したと思うよ、けれどね」 
「けれど?」
「思うって言ってるね、僕」
 咲にこのこと自体を話した。
「思うだから」
「確証はないのね」
「もうそれはお互いしかわからないよ」
「ソフトバンクと西武の」
「そうだよ、それでどっちのフロントも」
 即ち当人達もというのだ。
「これは営業に関わることで」
「あれよね、会社の中のことで」
「極秘事項だから」
「お話されないわね」
「誰もね、国家機密でなくても」
 そうでないがというのだ。
「企業機密もあるし」
「それでよね」
「真実がお話されることは」 
 それはというのだ。
「ないよ」
「そうよね」
「そんなお話だよ」
 こう咲に話した。
「だから甲斐野さんが言った」
「山川さんの人的補償で」
「この事実があるだけで」
「そこからは考えないことね」
「考えても仕方ないし」
「真相はわからないから」
「そうだしね」 
 それ故にというのだ。 
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