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危険物には触れないでおくこと

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第一章

               危険物には触れないでおくこと
 この日一年G組は朝から緊張していた、それで高橋正道はやや憮然としてそのうえでクラスメイト達に言った。
「流石にな」
「嘘だって思いたいよな」 
 クラスメイトの坂上剣太が応えた。
「日刊の飛ばし記事だってな」
「スポーツ新聞多いな」
 正道はこのことを言った。
「飛ばし記事は」
「シーズンオフはな」
 坂上も否定しなかった。
「そうだよ」
「日刊スポーツ以外にあの記事書いてるか?」
 坪本巧馬もこの話をした。
「他には」
「ないな」 
 正道は自分のスマートフォンで検索してから言った。
「見たら」
「じゃあ飛ばしか」
「流石にないだろ」
 坂上は首を傾げさせつつ言った。
「和田さん出すってな」
「和田さんって言ったら」
 坪本は真顔で返した。
「あっちの大ベテランでな」
「ホークスのな」
「四十代でも現役で」
「精神的支柱だろ」
「看板選手の一人だな」
「その和田さんが人的補償で西武行くとかな」
 そうなることはというのだ。
「流石にな」
「ないよな」
「幾ら何でも」
「いや」
 ここで桐生高広が来て言ってきた。
「プロテクトしてなかったかもね」
「ああ、それか」
「うん、ホークスって選手多くて」
 桐生は坪本に応えて話した。
「選手層厚いよね」
「そうだよな」
「特に野手がね」
「若手育ってないとか言う人いるけれどな」 
 野茂友也が巷で言われていることを話した。
「どう見てもな」
「若手も育ってるよ」
 今度は竹山陽が言ってきた。
「あのチームは」
「そうだよな」
「三森選手も大津投手もね」
「栗原選手だって二十代だしな」
「川瀬選手もいて」
「それでだよな」
「そんなこと言うのは」
 それはというと。
「碌に取材していないか悪意あるか」
「そんな奴いるよな」 
 野茂もそれはと応えた。
「ジャーナリストに」
「新聞とかだと日刊ゲンダイとかね」
「あそこは最悪だしな」
「他にも色々酷いからね」
 日刊ゲンダイはというのだ。
「それでね」
「そうだよな」
「夕刊フジも酷いしタブロイドはね」
「信じたら駄目だな」
「もうまともな取材なんかしないで」
 球場にいるファンが球界関係者になっていたり脳内取材を行っている、これが日本のタブロイド紙の実態である。 
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