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怠け社員を働かせるコツ

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第二章

「出来ます、ただ」
「やる気がなかったね」
「はい、実は彼のことは知っていまして」
「そうだったんだ」
「入れ替わりになったんですが同じ大学の同じサークルの後輩なんです」
 それにあたるというのだ。
「私が卒業したすぐに入学して」
「そのサークルに入ったんだ」
「何でも家庭に問題があって」
 それでというのだ。
「何をしても褒められない」
「ああ、そうした家もあるね」
 家長は牛丼を食べつつ頷いた。
「何か出来たりいいことをしたりしてもね」
「そうした家にいますと」
「やることやればいい」
「そうなりますね」
「そうだね」 
 家長も確かにと頷いた。
「必然的に」
「そのことをサークルの後輩彼から見て先輩に聞きまして」
「そうしてだね」
「そうした人は褒めればいいとです」
 褒められたことのない人物はというのだ。
「聞いていまして意識してです」
「褒めているんだね」
「そうしています、人はそもそも褒められると嬉しくて」
「評価されているということだからね」
「それもいい評価で」
「それでだね」
「そして特にです」
 西郷はさらに話した。
「褒められたことのない人は」
「嬉しくてだね」
「頑張ってくれます、ですからこれからも」
「彼はだね」
「実際出来ますし」
 このこともあってというのだ。
「是非です」
「褒めていくんだね」
「そうして一緒に働いていきます」
「一緒にだね」
「はい、一緒にです」
 家長に目を輝かせて答えた。
「そうしていきます」
「彼を認めているね」 
 課長は西郷のそのこともわかった、そして笑顔で頷いて言った。
「そうだね」
「そのつもりです」
「その心だと」
 それならとだ、課長は述べた。
「そもそも人もついてくるね」
「そうですか」
「僕も考えていくよ」
 課長自身もというのだ。
「人はどうあるべきか」
「そのことをですか」
「うん、これからね」
 こう言ってだった。
 課長もまた自分の仕事の在り方を考えていった、そして相手を認めて一緒に働くという意識で働く様になった。
 西郷と接してだった、課長も高橋も変わった。二人共八条ソフトにその人ありと言われる様になったがそれは西郷のお陰だと二人は言う様になった。八条ソフトを背負って立つ様な人物になった彼を見て。


怠け社員を働かせるコツ   完


                  2024・1・24 
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