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X ーthe another storyー

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第五十三話 幸福その十一

「むしろ愛情を抱いているから」
「そのうえで動いていましたか」
「姉さんにはわからなかったのね」
「わらわは自分が好かれるとは思いませんでした」 
 そうだったというのだ。
「全く」
「そうだったのね」
「こうした身体なので」 
 それ故にというのだ。
「誰からも」
「身体のことはどうでもいいわ」
 これが返答だった。
「姉さんは姉さんよ」
「だからですか」
「私は姉さんを救いたくて」
 そう思うが故に動いてというのだ。
「そして敗れても」
「救われたので」
「いいわ」 
 そうだというのだ。
「これでね」
「そうなのですね」
「そしてこれからは」
「わらわとですか」
「一緒にいるわ、都庁にいてね」
 そうしてというのだ。
「こうしてね」
「わらわのところに来て」
「お話もして」
「共にですか」
「働いていきましょう」
「東京を護る為に」
「夢見は姉さんだけではないわ」
 こうもだ、庚は話した。
「地の龍にもいるわ」
「彼もですね」
「だからね」
 それ故にというのだ。
「一人で背負わずに」
「これからは」
「私達も頼って」
 切実な言葉と顔で述べた。
「いいわね」
「そうですか、これからは一人ではないのですね」
「そうよ、元々天の龍がいるわね」
「わらわには」
「周りにもでしょ」
「はい」
 玳透達についても答えた。
「見れば」
「はい、僕達でよければです」
「何でも申し上げて下さい」
「及ばずながら全力でお支えします」
 玳透だけでなく緋炎と蒼氷も言ってきた、見れば誰もが実に切実かつ真剣な表情で丁に言ってきている。
「丁様を」
「ですからお頼り下さい」
「その為にいますし」
「この通りよ。姉さんが一人になることはないわ」
 庚はまた言った。
「だからね」
「孤独に苛まれることなく」
「働いていってね。いいわね」
「それでは」
「また来るわ」
 庚は微笑んで告げた。
「だからね」
「その時は」
「またね」
「こうしてですね」
「お話しましょう」
「それでは」
 丁も頷いて応えた、そしてだった。 
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