| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

X ーthe another storyー

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第五十三話 幸福その一

                第五十三話  幸福
 昴流は星史郎が眠る桜塚家の墓に参り花を捧げた、そのうえで言った。
「手術を受けました、また見える様になりました」
「それは何よりです」
 ここでだ、星史郎が出て来た。そのうえで彼に言ってきた。
「僕もこれで気兼ねなく行けます」
「これまで残っていたんですね」
「はい、最後まで見届けたかったので」
 昴流の前に出ていた、そのうえでの言葉だった。
「残っていました」
「そうだったんですね」
「皆さんそれぞれ生きられる様になり」
「地の龍の」
「そして昴流君も」
 他ならぬ彼もというのだ。
「前に進める様になって」
「それで、ですか」
「もう思い残すことはありません」
 優しい笑顔での言葉だった。
「行かせてもらいます」
「お元気で」
「あの時死ぬ運命でしたが」
 北都を殺した時のことを話した。
「それを敢えてです」
「姉さんが変えて」
「それは今の為にそうなったのですね」
「運命が変わったことは」
「昴流君が前に進める様になる為に」
「桜塚護の因縁が終わって」
「若し僕が北都さんに殺されていたなら」
 あの時そうなっていたらというのだ。
「北都さんが桜塚護になり」
「地の龍にもですね」
「なっていました、ですが」
「姉さんは地の龍のことは知りませんでした」
「ですが桜塚護のことは知ってしまったので」
 それ故にというのだ。
「自ら殺されました」
「そうでした、僕の手を読んで」
「そして星史郎さんも」
「北都さんがそうしてくると思っていました」
「そうでしたね」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「僕は昴流君の前から姿を消しました」
「僕を殺さずに」
「殺されました、ですが」
 それでもというのだ。
「敢えて言ったのです」
「誰も好きにならないと」
「北都さんは言ったでしょう」
「星史郎さんを好きだと」
「そうでしたから」 
 だからだというのだ。
「もう桜塚護の因縁はです」
「終わらせたかったですね」
「好きな人に殺され好きな人を殺し受け継がれる」
「その因縁は」
「呪殺することも悲しいことですが」
 桜塚護の仕事はというのだ。
「それと共にです」
「その因縁は、ですね」
「悲しいことなので」
「星史郎さんは終わらせたかったですね」
「ですから昴流君に殺され」
 彼の考えを読んだうえでというのだ。
「そしてです」
「好きでないと言いましたね」
「本当は好きですから」
 今は本心を話した。
「昴流君も北都さんも」
「だから僕達を桜塚護にさせないで」
「闘わない様にもしました」
「そうだったんですね」
「全て上手くいきました、それに皆さん生きられましたし」
 星史郎はにこりと笑って述べた。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧