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イベリス

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第百三十二話 イベリスその十二

「ああだこうだってね」
「言ってるのね」
「必死な人はね」
「もうそんな暇ないのね」
「そうよ、じゃあ咲ちゃんもね」
「一生懸命やっていくわね」
「そうするわね」
 愛に笑顔で応えた、そうしてだった。
 咲は予習復習にも励んだ、風呂も夕食も楽しみそれからも予習復習をした。そうした日々を過ごしているうちに。
 二学期の中間テストもあった、その結果は。
「よかったですか」
「はい、成績が上がりました」
 咲は速水に店で話した。
「そうなりました」
「それは何よりですね。思えばです」
 速水は咲の話に微笑んで応えた。
「私も学生時代は」
「お勉強にですか」
「必死になっていました」
「店長さんもですか」
「大学に行きたかったので」
 そう思っていたからだというのだ。
「それなりにです」
「頑張っておられたんですね」
「それで八条大学に進みました」
 この大学にというのだ。
「神戸の」
「店長さんあちらでしたか」
「はい、大学は」
「東京でなくて」
「お会いしたい方がおられ学びたいことがです」
「あってですか」
「どうしても行きたかったので」
 そう思ってというのだ。
「勉学にです」
「頑張ってたんですね」
「そして入試に合格して」
「八条大学に進まれて」
「そしてです」
 そのうえでというのだ。
「お会いしたい方にお会いして」
「学びたいことをですね」
「学びまして」 
 そしてというのだ。
「今に至ります」
「そうですか」
「学ぶべきことを学び」
 速水はさらに話した。
「成長されて下さい」
「学校の勉強もですね」
「はい」
 まさにというのだ。
「励まれて下さい」
「わかりました」 
 咲は確かな声で答えた。
「それじゃあ」
「努力はその時芽が出なくても」
「後で、ですね」
「絶対に消えないので」
「絶対ですか」
「この世で絶対のものごとは非常に少ないですが」
 それでもというのだ。 
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