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イベリス

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第百三十二話 イベリスその二

「夕方もね」
「咲ちゃんが行くのね」
「そうしようって思ってるの」
「夕方はお母さんが行くわよ」
 母が言ってきた。
「そうするわよ」
「いいの?」
「お母さんも運動しないとね」
「それでなのね」
「夕方はね」 
 家の家族である愛犬の散歩はというのだ。
「お母さんが行くわ」
「運動で」
「健康の為にね」
 まさにその為にというのだ。
「やるわ」
「そうするのね」
「動かないと」
「お散歩でも」
「パートでもそうして」
 身体を動かしてというのだ。
「それでね」
「モコのお散歩もして」
「身体を動かして」
 そしてというのだ。
「痩せてね」
「健康でもあるのね」
「健康じゃないとね」
 さもないと、というのだ。
「駄目でしょ」
「健康が第一よね」
「何でも出来るのよ、健康つまり元気ね」
「元気がないとね」
「大隈重信さんも言ってたでしょ」
 早稲田大学の創設者であり総理大臣も二度務めている人物だ、一八〇あり当時ではかなりの大男であった。
「元気がね」
「第一ね」
「アントニオ猪木さんもね」
 この偉大なプロレスラーもというのだ。
「言ってたでしょ」
「今はあの人が有名ね」
「それで元気である為にね」
「お母さんもなのね」
「身体を動かして」
 そうしてというのだ。
「健康でいるわ」
「それでモコのお散歩行くのね」
「そうするわ」
「じゃあ夕方は」
「気にしないで」
 モコの散歩のことはというのだ。
「行って来なさい」
「それじゃあね」
「ええ、ただね」
「ただ?」
「一つ聞きたいけれど」
 娘にやや真剣な顔で尋ねた。
「あんた今晩何食べたいの?」
「今晩?」
「ええ、何がいいの?」
「ハンバーグ?」
 娘は少し考えてから答えた。
「それかしら」
「ハンバーグなのね」
「最近作ってないでしょ」
「レトルトを買ってもなかったわね」
「どっちでもいいから」
 作ってもレトルトでもというのだ。
「ハンバーグをね」
「食べたいのね」
「ええ、駄目かしら」
「わかったわ、じゃあ作るわね」
「作ってくれるの」
「お母さんも言われて食べたくなったから」
 だからだというのだ。 
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