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魔法少女リリカルなのはvivid 車椅子の魔導師

作者:月詠
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十話

 
前書き
2巻突入です!

では最初はヴィヴィオsideから始まります 

 
わたし、高町ヴィヴィオの朝の日課はジョギングです

「ゴールッ!」

クリスも一緒に走って(飛んで)くれるので結構心強いです

「ママ。ただいま!」

「おかえり」

お家に入り、リビングに顔を出すとなのはママとフェイトママのお出迎え

今週はフェイトママもお休みで毎日が楽しいし

高町ヴィヴィオ、今日も絶好調です!!


学院へ行く準備をして、なのはママと一緒に家を出ます

「それじゃあ、フェイトママ」

「いってきます」

「いってらっしゃい」

フェイトママとクリスが見送りをしてもらって、学院へ向かいます

「そう言えばヴィヴィオ。新しいお友達、アインハルトちゃんとクロムくんだっけ?ママにも紹介してよ」

歩いている時のなのはママの突然の質問……

「お友達っていうか先輩だからねー。クロムさんだって、司書さんだし。もっとお話いたんだけど、なかなか難しくて」

「んー…そっかー。できればそのクロムくんを紹介して欲しかったんだけどな」

「え?どうして?」

なのはママは何故かクロムさんに興味があるみたいです

「だって、ヴィヴィオの好きな人なんでしょう?その、クロムくんって」

「へっ!?ち、違うよ!?く、クロムさんはいつも図書館でお世話になってる司書さんで、好きとかそういうのは……」

顔が少し熱くなるのがわかる。なのはママってば突然、なんて事を聞いてくるの!?

「なーんだ。ヴィヴィオにも春が来たかなーって思ったんだけどなー」

「ママはまず自分の事だよ。いつまで独身でいる気なの?」

その事を言うと、少しだけ唇を尖らせて、

「いいもん。私にはフェイトちゃんがいるからいいもん」

と拗ねてしまいました……

「もう。フェイトママだってずっと1人ってわけじゃないと思うんだけどなー。あ、じゃあいってきます!」

「あ、もうここなんだ。うん。いってらっしゃい。頑張ってね」

なのはママと別れ、学院へ少し急ぎ足で向かいます


なのはママが言っていた新しいお友達というか、先輩

そう、出会ったのは少し年上の女の子

学院の校門近くで見知った後ろ姿を見つける

「あ……!アインハルトさん!」

「はい」

わたしが声に答えて振り返ってくれた長く綺麗な碧銀の髪の女の子

「ごきげんよう!アインハルトさん」

「ごきげんよう。ヴィヴィオさん」

中等科一年のアインハルト・ストラトスさん

アインハルトさんはすごく強い格闘技者で、真正古流ベルカの格闘術。覇王流《カイザーアーツ》の後継者。

それから、ベルカ諸王時代の王様。覇王イングヴァルト陛下の正統な子孫

わたしもこないだ試合させてもらったけど、まだまだ全然かなわなくって……

できれば今よりもっと仲良くなって、一緒に練習したり、お話したりしたいんだけど…

「あ。高町ちゃん、アインハルトさん。おはよう」

「クロムさん。おはようございます」

「おはようございます!クロムさん」

灰色のセミロングの髪。なにより車椅子に乗っている事が目立つ男の子の先輩

アインハルトさんと同じ中等科一年のクロム・エーレンさん

クロムさんは学院の図書館の司書さんをしており、みんなが司書さん司書さんと呼ぶせいで、わたしもこの間まで本当の名前を知らなかったの

格闘技についての知識も豊富で、よく色々と教わったりしているかな。リオやコロナも一緒に

「今日は遅い登校ですね」

「あはは…。昨日の夜少し、夜更かししちゃてね。気づいたらいつも起きる時間より遅かったんだ」

アインハルトさんと親しそうに話すクロムさん。いいなー。わたしもあんな風にアインハルトさんとお話してみたいな

『だって、ヴィヴィオの好きな人なんでしょう?そのクロムくんって』

なのはママのあの言葉を思い出し、顔が赤くなってしまう。うぅー…なのはママのせいでクロムさんの事、変に意識しちゃうよー……

「あれ?高町ちゃん。顔が赤いけど、大丈夫?」

「へっ!あ、はい!大丈夫です!」

「――――ヴィヴィオさん。あなたの校舎はあちらでは」

「あ!そ、そうでした!」

中等科の校舎の方まで来ちゃってたんだ。恥ずかしい…

さらに顔が赤くなるのがわかるよー……

「それでは……」

「あ。ありがとうございます。アインハルトさん」

「――――遅刻しないよう、気を付けてくださいね」

背を向けた状態で軽く右手を上げて注意してくれるアインハルトさん

「うん。あと、調子悪いようだったら、すぐに保健室に行くように。ね?」

「はいっ!気を付けます!!心配ありがとうございます!」

そう言って、初等科の校舎の方へ引き返して走る


アインハルトさんとはなかなかうまくいかなかったり、なにげない一言が嬉しかったり、そんな一喜一憂な日々だけど……

今はもうなくなってしまった旧ベルカの出身同士

“強くなりたい”格闘技者同士

触れ合える時はきっとあるから

「……ていうかー。今日も試験だよー!大変だよー!」

「そうなんだよね~~!!」

リオと一緒にテストについて嘆く。だってテストの日にち多いんだもん

初等科も中等科もただいま一学期の前期試験の真っ最中です

「でも、試験が終われば土日とあわせて四日間の試験休み!」

「うん!楽しい旅行が待ってるよー」

リオもコロナも楽しみにしてるんだ。わたしも楽しみ

「宿泊先も遊び場も、もう準備万端だって!」

「おおー!」

今回のお休みはママ達の引率でみんな一緒に異世界旅行!

「よーし。じゃあ、楽しい試験休みを笑顔で迎えるためにっ!」

「目指せ!百点満点!」

「「おーーー!!」」

百点目指して頑張るぞー!


クロムside

「それにしても、随分仲良しになったんだね。高町ちゃんと」

「そ、そうですか……?」

普通にあれは仲良しにしか見えないよ

「ま、あのほとん会話にも参加しない、格闘技一本だったアインハルトさんがここまで変わるなんてね」

≪高町様のおかげですね≫

「そこまで無愛想ではありません…!」

あら?少し怒っちゃったかな?

スタスタと速足で階段を上がっていくアインハルトさん

「あ、ちょっと待ってよ!」

「知りません……」

そんな殺生な……

≪ま、この頃はこのリハビリもストラトス様に協力していただいてましたし、久々に自分の力でやってみては?マスター≫

「はぁ。そうだね。いつまでも頼るわけにもいかないしね」

久々に味わう激痛はどこか懐かしくも感じちゃった僕だった


「今日も試験かー」

≪どうしたんですか?≫

「今日の最後にあるフィジカルの試験だよ。僕は誰も指名はしないから、ランダムで組まれるでしょ?」

≪そうですね≫

まだ試験は残ってはいるけど、前半の区切りと言えるのがフィジカルの試験。言い換えれば実技試験だね。

「今年も順位低いだろうな」

≪仕方ないと言えば仕方ないですが…。ま、初等科五年の前期まではずっとランクS、順位一位で頑張ってましたからねー。去年はランクDで157位でしたし≫

五年の後期はランクFで最下位。筆記試験の方でなんとか稼いでたから、補習とかはなかったけど……

「昨日までの筆記試験の出来は上出来。今日は筆記試験とフィジカルがあるからどうかな?」

≪あれ?マスターは前半組でしたか?≫

「え…?確かそうだったような……」

机の中からテストの予定表を取り出す

「あ、今日は指名組がやるからランダム組は後半組にまわってる」

それでも明日まで執行猶予が伸びただけのような……

≪でしたら、今日はミルテ様とストラトス様の試合がありますね。アス様も指名組ですよね?≫

「そうだね」

「なんだ……?俺らの話か…?」

何時聞きつけたのかはわからないけど、噂をすれば影とやら。三人が僕の机の回りに来ていた

「ま、そんなとこ。三人共、指名組でしょ?」

「うん。でも正確には私がストラトスさんを指名するからアインハルトさんは巻き添えみたいな感じだけどね」

「そこで決着をつける約束ですから」

ミルテとも結構仲良しだし、決着とかはあんまり関係ないように見えるなー

「アスは誰に挑むの?」

「男子で近接戦を得意とした奴だな……。まだ目星はつけてない…」

近接戦を得意とした人ねー。あ、1人いたかな

「隣のクラスのリーヴァは?確か、バリバリのパワーヒッター型だったと思うけど?」

リーヴァとはリーヴァ・セルイド。自作の大剣型のアームドデバイスを使うバリバリのパワーヒッター型の魔導師。昔はよく僕を指名してきた。男子の中では近接戦なら信用して背中を預けられるかな?

「俺と相性が悪すぎるな……」

「そんなんでインターミドルに出る気?」

対戦相手との相性が悪いとか言ってたら悪いけど、地区選考会で落ちる可能性だってあるよ

「うっ……」

「アスは射撃型の魔導師。一発の質より、数で攻めるって感じのスタイルだよね。だったら、誘導弾とか使ってかく乱させるのも手だし、数で相手を足止めして、デカいので一撃必殺狙うとか色々やり方はあると思うけど?」

射撃型の魔導師が近接型の魔導師に勝てないなんてそんなものは先入観でしかないよ。知恵と戦略次第でいくらでも勝てるチャンスはある。

「ま、後はアス次第だよ」

「あ、ああ……。すまん…」

それでいいんだよ

「あの…インターミドルとは?」

アインハルトさんがそれはなんですかと言わんばかりの顔で聞いてきた

「あれ?ストラトスさん。インターミドル知らないの?」

「は、はい」

ま、覇王の悲願だなんだで通り魔やってる人がインターミドルに出てるなんて思ってなかったけどね。まさか、インターミドルの存在自体知らないとは……

「インターミドル・チャンピオンシップ。全管理世界の10代の魔導師達が個人測定ライフポイントを利用して、スポーツとしての魔法戦技術を競う公式大会の事でね。DSAAとも呼ばれてるんだよ」

「DSAAですか?」

「Dimension Sports Activity Association公式大会インターミドル・チャンピオンシップが公式名称だ……」

「ついでに出場資格は10歳から19歳までの魔導師だよ。局員とかじゃなくても参加できるよ」

ミルテ、アス、僕の順で説明していく

「それにクルスさんが出るのですか?」

「ああ……」

ま、この実技試験はそれを止めるかどうかも兼ねてるからね。リーヴァを指名して、どこまで善戦できるかだね

「ま、試験についてはみんな頑張ってよ。見て行くつもりだから」

実技試験は一応、試合形式で行われるので見ることも出来る

「一応、試合風景は撮っておくから、後で反省に使って」

「ああ…」

「うん!ありがとう!」

「助かります」

さて、実技試験の話はここまでにして……

「今は目先の筆記試験の事を考えようか」

「うっ……」

アスが何故か息を詰まらせる。まさか……

「アス。君さ、実技試験の事ばかりに頭が行って、今日の分の筆記試験の勉強。ほんとどしてないなんて……言わないよね?」

ニッコリと笑いながら言い放つ

「あ、ああ!も、もちろんだ…!!実技試験の特訓ばかりで勉強がおろそかになんてなってないぞ?」

「アスくん…。自白しちゃってるよ」

「あ……」

僕から視線を外すように背を向けていたアスが恐る恐るこちらを見る……

「アス。ちょっと正座」

「え…?で、でももうすぐHRが…」

「ごたごた言ってないで正座!!」

「はいぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃ!!」

少し泣きそうになりながら、僕の前に正座するアス

「あちゃー。これはちょっと見せられないよねー。ストラトスさん。私の席に行こう、ね?」

「は、はい」

ミルテによってアインハルトさんが避難させられる。当のアインハルトさんは?がいっぱい浮かんでいる様子

「さぁO☆HA☆NA☆SHIしようか?」

「い、いやああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!」

その後、机に突っ伏してごめんなさいを連呼しているアスの姿が確認されたそうな……


筆記試験は4時限までで、お昼休みを挟み、実技試験に入る。ま、今日の指名組じゃない人は帰ってもいいんだけどね

指名組は予め、誰を指名するかを担任に伝えてあるので、当日指名する人が帰るなんてトラブルは発生しないようになっているんだ

「僕は今回、誰も指名してないみたいだから、普通に帰れるんだけどね」

「でも、見て行くんでしょ?」

「そのつもりだよ」

今、僕はアス、ミルテ、アインハルトさんと教室にお弁当を食べている。午後の試験に向けての栄養補給だね

「それなのに、なんでアスは購買のパンなのかな?」

「うっ……。母さんがど忘れしたらしく……」

自分で作ると言うことを覚えようよ。君のお母さんはもの凄い天然なんだからさ

「お前はずっと自分で作ってるよな……。あの部屋で…」

「汚くて悪かったね」

「あはは…。また掃除しに行こうか?」

ミルテの提案はありがたいけど、遠慮するよ。流石に毎回毎回、ミルテに頼むわけにもいかないから……

「ミルテさんはクロムさんの部屋に?」

「うん。この頃は行ってないけど、結構行ってる方だよ。クロムくんって片づけやらない人だから」

「流石に俺もあの部屋は引いた……」

うっ……

≪マスターの部屋は生活感たっぷりですからねー。ゴミとかはしっかりしていますけど、服とかは出しっぱなしですからね≫

「ロンド。余計な事は言わないでよ……」

余計へこむからさ!!

「はぁ…。それで?アスは誰に挑むか、決めたの?」

「ん……?ああ。お前の言ったリーヴァに申し込んだ……」

へー。なら、作戦は念入りに組まないとね。

「一応、色々考えては……ある」

「それじゃあ、善戦できる事を願うよ。一撃ノックダウンはなしだよ?」

「そこまで柔ではない……」

なら、期待しようかな

「ミルテはどうするの?」

「あ、うん。使うよ」

だよね。流石にアインハルトさん相手に手加減なんてしてられないもんね

「使う…とは?」

「ふふん。戦ってみてのお楽しみだよ!ストラトスさん!」

あれを使うミルテには僕も敵わないからなー。どれだけアインハルトさんに通じるかな?

キーンコーンカーンコーン

「あ、昼休み終わりだ」

「さて、俺らは……」

「うん。先に行ってるね。クロムくん」

「では、また後で…」

そう言って教室から出ていく3人。この後、指名組は学院で使う模擬戦場でアップをし始める。他の人は教室でHRをして帰るんだけど、ほとんどが観戦しに行くから、帰る人はほんの一握りだね

「では、気を付けて帰るように。観戦する奴はあんまり遅くならない内に帰れよ?」

帰りのHRを終えて、先生が教室を出て行く…

「さて、向かおうか」

≪はい≫

ロンドに連れられ、模擬戦場に向かう……


「おー。もう結構いるね」

≪良い位置で見られる場所を探しますので、少しお待ちを≫

そこまでしなくていいのに…

≪見つけました。案内します≫

ロンドに案内されて、ついたのは真横から観戦できる席

「うん。ここなら、普通に見れそうだね」

≪録画の準備はしてありますので、ご心配なさらず…≫

さて、目当ての試合までまだあるかな?

「ではこれより実技試験を開始する。最初はアス・クルス!」

あれ?一番手がアスなんだ

フィールドの中央にアスが向かう。あれ?

「アスの手に汎用型のデバイスがない?」

≪そのようです≫

まさか…!!

「指名はリーヴァ・セルイド!」

反対側から、がたいのいい少年が出て来る。リーヴァ、また気が強くなったね

「まさかお前が俺を指名してくるとはな」

「インターミドルには、相性が悪いとか関係ないらしいからな……」

「ふっ…。そうか。なら、全力で相手しよう。ちゃんと結果を残さねば、補習が待っているのでな」

リーヴァはクリスタル型のデバイスを前に向け……

「グラム!!」

≪Set up≫

リーヴァのBJは重騎士。ほとんど攻撃を通さないその鎧と手に持つエメラルド色の大剣型アームドデバイスのグラム……

「何度見ても、あれでよく戦えるよね」

≪はい。攻撃の重さと防御の堅さは学年トップクラスに匹敵するでしょうから≫

さて、これにアスはどう勝つのかな?

「さぁ……。お披露目だ…!」

アスの手には黒いペンダントが握られている

「レイヴン……!!セットアップ!!」

≪Set up≫

やっぱり専用デバイス。やっと手に入れたんだ

アスのBJは黒としか表現できないかな?全身が黒い装備で手には銃。あれがレイヴンの姿だね

闇夜のスナイパーって感じかな?

「ほう…」

「行くぞ……」

右手に持った黒い銃をリーヴァに向ける……

一方のリーヴァは腰を低く落とし、大剣を水平に構えている

「では試験、開始!!」

教師の声と同時に試合が開始された


 
 

 
後書き
十話です

ついに始まった実技試験!まずは指名組の三人からスタートです

次のお話はアスの試合とミルテの試合をお届けする予定です!

ついに自分の専用デバイスを手に入れたアスの戦いぶりは……!?

感想、評価、誤字報告、指摘待ってます

では次のお話で…… 
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