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お祖母ちゃんの時計

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第一章

                お祖母ちゃんの時計
 サラリーマンの後藤実はいつも腕時計をしていてそれをとても大事にしている、その腕時計はというと。
「随分古いな」
「昭和のだからな」 
 後藤は会社の同期の森良知に答えた、長方形の顔で目は小さく口は大きい。黒髪をスポーツ刈りにしていて背は一八〇程ですらりとしている。
「もうな」
「かなりだな」
「四十年か」
「よく動くな」
 四十年と聞いてだ、森は驚いた。森は顎がすっきりとしていて切れ長の鋭い感じの目で眉は細く唇は小さい。黒髪をショートにしていて背は一七五程で痩せている。
「それで」
「ああ、大事にしているつもりだからな」
「それでか」
「高校の時から使ってるけれどな」
「ずっと大事にしているからか」
「今もな」
「動くんだな、しかしな」
 森は後藤の話をここまで聞いて言った。
「今高校からって言ったな」
「ああ、そうだよ」
 後藤はその通りだと答えた、昼食の後喫茶店で話していてくつろいでいる。
「もう十年か」
「あとの三十年はどうしたんだ」
「祖母ちゃんが使ってたんだ」
 後藤は即座に答えた。
「それまではな」
「そうだったんだな」
「俺が産まれる前からな」
「お祖母さんが使ってたか」
「学校の先生やってて真面目でな」
 祖母はというのだ。
「厳しくても温かい」
「そんな人だったんだな」
「その祖母ちゃんがな」 
 まさにというのだ。
「俺に譲ってくれたんだ、俺が高校に入った時にな」
「それでそれからか」
「使ってるよ、今もな」
「そうなんだな」
「それで四十年な、ただな」
「ただ?どうしたんだ?」
「ずっと思てたがこれ何だろうな」 
 ここでだ、後藤は腕時計にあるマークを見て言った。
「角みたいな」
「何だそれ」 
 森もそのマークに気付いて声をあげた。 
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