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厨二病の子の素顔

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第一章

                厨二病の子の素顔
 小学六年生の宮田総一郎は所謂厨二病だ、黒髪をショートにしていて背は普通位で目鼻立ちは整っている。
 しかし何かとだった、こんなことを言うのだった。
「俺の中の邪悪な何かが目覚めようとしているんだ」
「またそう言うんだ」
「本当に厨二だな」
「漫画やラノベの台詞やポーズ好きだな」
「何かと」
「月を見る度思い出せ」
 こうもだ、クラスメイト達に応えつつ言うのだった。
「俺に負けたことをな」
「変に恰好つけるな」
「本当にな」
「それも漫画みたいに」
「そうなるな」
「俺の力は無限だ」
 厨二病はさらに続く。
「その力の前に敵はない」
「まあ別にいいけれどね」
「それで誰か迷惑する訳じゃないし」
「三丁目の中学生みたいじゃないから」
「あいつは只のドキュンだしね」
「俺をそんなのと一緒にするな」
 ドキュンではないというのだ。
「邪気眼に目覚めた俺をな」
「ああ、わかったわかった」
「じゃあそういうことでな」
「また何かあれば言うな」
「厨二ネタを」
「俺に封印を解かせるな」
 まだ言うのだった、そんな中でだ。
 クラスメイト達は学校の校外学習でお寺に行った、そのお寺は市の観光名所にもなっていて県内でも有名な名刹で密教の修行地としても有名だ。そこに行くことになると先生が言うと宮田は急にだった。
 嫌そうになってだ、先生に手を挙げて言った。
「あの、先生俺嫌です」
「どうしてなの?」
「どうしてもです」
 理由を言わずにこう返した。
「嫌です」
「そうなの」
「他の場所に行きましょう」
「けれど決まったことだから」
「どうしてもですか」
「あのお寺に行くわよ」
「そうですか」
 普段の厨二はなくだった。
 宮田は物凄く嫌そうだった、クラスメイト達は普段の厨二を出さずただひたすら嫌がる彼を見て思った。
「どうしたのかな」
「あんなに嫌がって」
「お寺行くだけなのに」
「何かあるのかな」
 首を傾げさせて思った、だが。 
 それが何故か寺に来てわかった、寺に行くと修行僧達が宮田に笑顔で言った。
「どうも、今日は授業ですね」
「学校の授業で来られたんですね」
「じゃあ皆に教えてあげて下さい」
「お寺のことも仏教のことも」
「何かと教えてあげて下さい」
「う、うん。わかりました」
 宮田は礼儀正しく応えた、そのうえで。
 僧侶達にその様に接してクラスメイト達に寺を案内していった、案内役の僧侶よりも的確でクラスメイト達はまさかと思って話した。
「あれっ、まさか」
「総一郎ってこのお寺の人?」
「そういえばお家この辺りだっていうし」
「それなら」
「いや、俺は第六天魔王の生まれ変わりだ」
 宮田は必死に厨二ネタを出して誤魔化そうとした。 
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