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X ーthe another storyー

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第四十八話 見舞その九

「出来れば」
「では一緒に。ただ」
「ただ?」
「お付き合いはいいにしても」
 微笑んだままだ、遊人は話した。
「ですが」
「それでも」
「はい、颯姫さんは高校生で僕はおじさんです」
「お付き合いをしても」
「出来れば颯姫さんが高校を卒業されてから」
「それから」
「真剣に、としたいですが」
 こう言うのだった。
「宜しいでしょうか」
「それなら」
 颯姫は確かな顔と声で頷いて応えた。
「そうして」
「それでは」
「僕も何か」
 二人を見てだ、哪吒も微笑んで言った。
「どなたかとです」
「お付き合いしたいですか」
「縁があれば」 
 こう遊人に話した。
「そうしたいです」
「そうですか、ではです」
「それではですか」
「退院されたら」
 それからというのだ。
「僕が紹介しましょうか」
「そうしてくれますか」
「かつての仲間か関係者でよければ」
 それならというのだ。
「どなたか」
「そうですか」
「そうなりますが」
「そうですね、暫く考えますので」
「そのうえで、ですね」
「退院したら」
 それならと言うのだった。
「お願いするかも知れません」
「わかりました、実は神威君と似た名字の人でして」
「あの人のですか」
「最初神威君と会ってお名前を聞いた時にです」
 その時にというのだ。
「何か関係があるのかとです」
「思われましたか」
「実は」
「そんな方もおられるんですね」
「はい、その方でよければ」
「では考えさせて下さい」
「じっくり考えて下さい、時間はありますし」
 このこともあってというのだ。
「今はです」
「傷を癒して」
「本を読んでお見舞いに来た人とも会って」
「お話もして」
「ゆっくりとしながら」
「そうしたことも考えてですね」
「過ごして下さい」 
 哪吒に優しい笑顔で話した、そうして懐からチョコレートを出して彼に差し出してそうして話した。
「どうでしょうか」
「チョコレートですか」
「お好きですよね」
「大好きです」
「ならです」
 それならとだ、遊人は応えた。
「どうぞ」
「有り難うございます」
「人間はこうしたことも楽しめるのね」
 颯姫は哪吒がチョコレートを受け取るのを見つつ微笑んで話した。
「いいわね」
「そうですね、本当に」
 哪吒もその通りと応えた。
「ならこのまま」
「楽しんでいきましょう」
「そうしましょう」
 哪吒は颯姫にも応えた、そしてだった。 
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