企画も努力

　仕事が終わってから二人で居酒屋で話をしたが星場から言った。
「僕の仕事が荒いのも」
「実際よくなったしな」
　桐野はその話もした。
「そうだしな」
「それで、ですか」
「ああ、よくなってるしな。それで俺のもな」
　ビールを飲みながら自分のことも話した。
「自分でもっと前向きにいけばって思っていたんだよ」
「先輩はそうだったんですか」
「それがな」
「よくなっていますか」
「そうみたいだな、そうしたところもな」
　それぞれの至らないこともというのだ。
「努力していけばな」
「よくなるんですね」
「少なくともましにはなるな」
「そうなるんですね」
「ああ、だからな」
　そうなるからだというのだ。
「これからもな」
「努力していくことですね」
「それが一番だな、今結果が出ていなくてもな」
「努力していくことですか」
「中田さん結果がどうとか言わないだろ」
「そうですね、あの人は」
　星場はつまみの蛸のカルパッチョを食べつつ応えた。
「言わないですね」
「そこで結果がどうとか言うとな」
「よくないですね」
「結果出せとか結果が全てって言うとな」
「結果しか見なくなって」
「それでな」
　そうなってというのだ。
「努力もな」
「見なくなりますね」
「大事にしなくなったうえで」
「それじゃあ駄目ってことですね」
「そうだよ、今結果が出なくても」
　そうであってもというのだ。
「努力していけばな、そう思うとお前に企画見せてもらってな」
「よくそうしてましたね」
「あの時俺も駄目出しばかりしてたな」
「いえ、別に」
「それも駄目か、いい点と悪い点をな」
　その両方をというのだ。
「言っていい点を伸ばして」
「悪い点をどうなおしていくか」
「辺に駄目出しばかりしてるとな」
「人は育たないですか」
「そうなるか、努力してな」
「努力を認めることですね」
「それでよくなるか、色々考えて努力していって」
　自分達はというのだ。
「他人の努力も認める」
「それが大事ですね」
「そうかもな、お前の企画見て俺の企画考えていってな」
　そうしていってというのだ。
「わかってきたよ、それでこうしたことがわかるのも」
「努力していっているからですね」
「わかるんだな、本当に努力って大事だな」
「企画でもそうですね」
「ああ、何にでもな」
　こう言ってまた飲むのだった、そのうえで翌日からまた仕事を頑張っていった。そしていい企画を二人共次々と出していくのだった。


企画も努力　　　完


　　　　　　　　　　　　　　　　　　　２０２３・１２・１７