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人生コンティニューしたらスクールアイドルを守るチートゲーマーになった

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85話 神が与えたCHANCE

 
前書き
早くほのぼの成分補給しなければ……あと、今日はあの人登場してきます。そして結構キーマン…いやキーウーマンか。 

 


「Hey,Chika. how many seconds are left until the announcement!?」
「あ、えぇ……?」
「まだ30分もあるわよブラザー。」
「Oh,shit!」
「最近魁君のキャラ崩壊してるずら。」


こちらAqoursメンバー御用達の和菓子屋 松月の外。昨日決めた方針により、俺と魁はAqoursの9人と共に予備予選の結果を待っている。

花丸はのっぽパンを、堕天使ヨハネもとい善子は怪しげな蝋燭を携えて待機している。

流石に暴食に見かねた鞠莉は苦言する。


「花丸、そんなに食べたら太るよ?」
「食べてないと落ち着かないずら〜!」


一方の果南はやはり落ち着くことができず、今にも動き出しそうだ。


「私こういうの嫌いなんだよ〜!」
「そんなことチカに言われましても……」
「ちょっと走ってくる!」
「結果出たら知らせるね〜」
「いいよ!知りたくない!」
「じゃあ知らなくていいの?」
「うー!!」


全く……コイツらは。

そっちに目がいっていると、善子が五芒星を地面に描き、その頂点に蝋燭を置いていた。


「全国のリトルデーモンの皆さん……この堕天使ヨハネに全ての霊力を……力を!!」


自称堕天使は霊力を求めたが、天が与えた恩恵はトラックが作った風であった。その風は蝋燭に灯った火を容易く消してしまう。

「消すな〜!」


フッと笑う俺。流石に疑問に思ったのか、建物に腰かけていた俺に梨子が寄ってくる。


「何?こんな時に良いことでもあった?」
「なぁに。もう《《結果は決まってるのに》》みんなドギマギするもんなんだなってさ。」
「え……才君?」
「全く……不便なモンだな、30分後の未来が見えるっていうのは。」
「………?」


首を傾げる梨子。まぁそうなるのも無理はない。しかし身についてしまったのだから、使わずにいられない。

するとスマホで発表スタンバイしていた曜が声を上げる。それとともに皆が曜のもとに結集して、スマホに一点集中する。


「ラブライブ予備予選…結果発表———」
「うぅ〜緊張する……」
「Aqoursの『あ』ですわよ。『あ』『あ』『あ』!!」


ふふふ……滑稽だな。でも普通の人ならそう緊張するのもわかる。しかし俺は未来が見えなかったにせよ、答えは決まっているような感じがする。こんな運ゲーなら俺は負けたことはないから。

そして…ついに予選通過者のベールが剥がされる。

しかし『あ』ではなかった。


「イーズエクスプレス……」
「嘘!」
「落ちた!?」
「そんな〜!!!」
「あ、番号順だったw」


皆の束の間の落胆が、台無しになってしまう。そして改めてサイトを徐々に下へと降っていくと………

『Aqours』


「Aqours……Aqoursだ!」
「「「「やった〜!!」」」」


ドーパミンが出ている————そう体感するのは、賢い人間だけだろうか?心の奥から噴水のように何かが噴く感覚。つい飛び上がりたくなる感覚。

皆がそんな感覚に陥っているのは、目に見えていた————否、もう既に見えていた。




———————※———————





「さぁ!今朝取れたばっかりの魚だよ?みんな食べて!」
「……何でお刺身?」
「干物じゃお祝いっぽくないかなって。」
「それ以外にもあるでしょ…夏みかんとか!!」
「パンとか!」
「いやお前ら毎日食ってるだろ。」


果南は舟盛りされた多種多様な刺身を部室の机に置き、お祝いの料理とする。しかしそこまでメンバーは興味をそそられるものではないようで、すぐさま手をつける者はいなかった。

てか千歌と花丸の好物に対する食欲は狂気だろ。どっちも軽々に手に入れられるものなのに……

するとルビィが慌てて部室に入ってくる。開いたノートPCを持って。


「見てください!PVの再生回数が——!」
「すごい再生数!!」
「それだけじゃなくてコメントも沢山ついてて!」
「『かわいい』…」
「『全国出てくるかもね。』…」
「『これはダークホース!』…」
「暗黒面!?」


皆がPVに歓喜する中、ここで1人が舟盛りに手をつける。


「うんめぇ〜!うますぎだろ!」
「…てかアンタはマジで食いにきただけだろ、竜介先生。」
「戦闘後のタンパク質の補給だ。」
「アンタもそうだが……祝、お前はマジで何しに来た?」
「何って……祝福の鬼にこの場は最もふさわしい————さぁ、祝え
「ハイハイ、大人たちは勝手に暴走せんでもろて。」
「おう、じゃあごちそうさん!俺たちは持ち場に戻るぜ!行くぞ祝福野郎。」
「え、まだ何も祝ってetc


竜介先生は祝のフードを掴んでそのまま部室を出て、バイク置き場の方へと向かって消える。

コミカルだが、流石に急いでいた様子を不審がって梨子が俺に尋ねてくる。


「どうしたの竜介先生?そういえば虎太郎君も見かけないけど……」
「アイツらはしばらく別任務がある。Aqours☆HEROESとしてのな————」
「どういうこと……?」
「才、一旦話しておいた方がいいんじゃないか?」
「そうか……」


魁の提案を受け入れて、Aqoursの9人に注目を集めてホワイトボードの前に立つ。


「まず……俺たちがいずれ立ち向かわなくてはならない相手———それがわかった。その名はナムロド。正義面して生贄を求める邪悪な神だ。」
「I see.あのマキモノはそういう意味ね。」
「ん……?敵はアークという人工知能ではないのですか?」
「ダイヤ、よく聞いてくれた———ナムロドは超古代から生きている。勇敢なとあるライダーに肉体と精神を分断させられた奴は自分の脳をベースにして———小原家の先祖に、人工知能アークを製作させた。やがて人類はアークの導きのまま、文明を発展させていった……あとは前に説明した通りだ。」


そう説明すると、浮かれない顔する人たちと頭を抱える人で別れ始める————あとニヤニヤする人物が1人。誰とは言わんが。

1番に浮かれない派の曜が開口する。


「うーん、やっぱり実感湧かないからよくわかんないなぁ。」
「まぁ普通ならそう感じる———が。」

俺は魁に目を向け、説明を要求する。その要求にもちろん魁は応じる。

「才以外の4人で偶然現れたナムロドを迎え撃ったが————言いたくないけど、完敗した。まともに攻撃を喰らってたら命も危なかった。竜介先生と虎太郎が大怪我を負いながらも、何とかガードしてくれた。何もしなかったら今頃内浦……いや、下手すれば沼津がふっ飛んでた。」


生々しい魁の証言に、全員がごくりと息を呑んだ。

彼らがいなくては全員が死んでいた————その事実を聞いて、誰が落ち着いていられようか。


「こ、こ、これが世界を喰らう大魔神の圧倒的な呪術攻撃
「」バチィィィン
「」チーン


流石におふざけが場にあっていないので、花丸は1000ページある辞書で善子のシニオン目掛けて叩き込む。あれ……HIT表示が見え——るのか?

恐る恐るルビィは魁に続きを問う。


「そ、それで悪い神様はどこに行ったの——?」
「奴はエネルギー不足に陥ったらしく、エネルギーの補給のためにどこかへ逃げた。しばらく奴が襲うことはないだろう……でも、やつは人間の負の感情を喰ってエネルギーにする。最近、一定の悪意を抱いた人間が怪人になる事件が多発している。その事件が起きるほどナムロドのパワーは増してゆく。そう俺たちは考えている。」
「負の感情……もしかして———」
「そういえば梨子はサウザーにレイダーに変身させられたことがあったな……」


俺の確認に梨子はゆっくりと頷く。俺は続ける。

「俺の推測だが、あの段階では極度も極度のストレスを抱えた人間を軽く洗脳することしかアークにはできなかった。だからレイドライザーという変身アイテムが必要だった。しかしもうそんなストレスもいらないほどにアークの悪意を感じ取る力は敏感になっている———あのサウザーが、制御できないレベルには。」
「でも…どうして才君たちも加勢しないずら?」
「それはだな————」
「ああああああ!!OMG!!」


花丸の質問に答えようとした矢先、魁がスマホを片手に外人特有の発狂声を撒き散らす。


「やばい…ヤバいぞお前ら!」
「え、何何!?」
「か、株主が———」
「カブヌシ?————カブならオフシーズンだよ?」


純粋バカを遺憾なく発揮する千歌。しかし魁の動揺はそんなボケにすら目もくれないほどであった。


「連盟の3人の株主が…7%ほどエンタープライズに株を売却予定……らしい。」
「「「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」」
「—————流石に出るか、離反者。」


多少は離反者が出るとは想定していた。経営合理化のためには、これが最短ルートに思われる。

忘れていないだろうか、サウザーの狙いはあくまで内浦の再開発。廃校優先————もっと言うなら、町民排除。学校連盟も町民排除など過激な考えは持っていないだろう。彼らの中には町に深い繋がりを持つ者もいるだろうし。


「それは———so badなんじゃない?」
「なーに。だから俺と魁がここに残ったんだ。」
「でもどうしますの?流石にすぐに売られたら、対処のしようが————」

俺は不敵に笑みを浮かべ、曜の方に視線を送る。

「《《アイツ》》には連絡取れたか?」
「うん、まぁ———けどそれと何の関係が……?」
「鞠莉、入学説明会参加希望者数は?」
「まぁ、PVの再生回数からして——————No way……OMG〜!!!」
「あ…?」
「Zero…」
「え…」
「そんな!」


ダイヤの力の抜けた声にルビィの声。PVの再生数や得票数がゼロを脱出して即突きつけられたゼロ。俺たちはゼロに取り憑かれているのか————そんな現実をダイヤは素直に受け入れられなかった。


「嘘…嘘でしょ!?」
「残念だけど……」
「ほう———想定…ギリ内だ。こうなったからには、鞠莉は入学説明会の人数集めの案を考案と実行してくれ。魁と俺は株の件を何とかする。」
「おい才…」
「魁は準備ができるまで2人を手伝ってやってくれ。」
「りょ、了解——」


魁に質問させる隙を与えず、俺は話を終えた。




〜〜〜〜〜〜




「いや〜刺身を食ったシメはかき氷か……」
「そういえば才君は刺身も好物だったよね。私の分も食べてたし。」
「まぁ、基本的にお前らが好きか嫌いな物は俺の好物になってるしな。」


何の因果か、俺の好物はAqoursメンバーの好物と嫌いな物。故にコイツらの残飯処理をさせられることも多々ある。まぁ美味いからいいんだが。

そして現在、淡島の果南の家でかき氷食事中。俺はあろうことかコーヒー味のシロップ。曜はブルーハワイ、そして千歌はもちろんみかん。


「才くんなんでコーヒーなんかにするの!?」
「別にいーだろが。てかみかんにしたらお前に取られるかもしれんしな!」
「え、それって間接キス……」
「————見え見えのハニー感出してんじゃねーよ。」
「え、何今の間。もしかs
「はいはいほっとけ。」


一瞬頬が赤らんだ千歌に、千陽の面影が映ってしまった。しばらく俺は停止したが、その後のやりとりを見てようやくいつものペースに持ってこれた。しかし改めて思うと、いくらご先祖とはいえ似すぎている————これは少し調べる必要がありそうだ。とはいえ、流石に優先事項があるため今すぐにとはいかないが。

ここで千歌が嘆息を漏らす。


「あぁ〜また0か……」
「やっぱり入学となると話が変わってくるのかな…」
「だってPVもあんなに再生されて、ライブ後もあんなに声かけてくれたのに……」
「ダイヤは無名だけどな。」
「いやその下りは要らなかった気がする……」


先ほどの曜の話は的を得ている。このインターネットが普及した社会では、動画のアップによって有名になることは容易いが、同時に浦の星学院に入学することでAqoursのライブを見るために入学とかは魅力がなくなる。特に俺が高品質な動画を提供するせいで、その場にいながらライブ会場にいる感じを再現できてしまっているのも原因と言えよう。


「これで生徒が全然増えなかったらどうしよう…」
「μ'sはこの時期にはもう、廃坑を阻止してたんだよね——」
「え!?そうだっけ!?」
「うん。学校存続がほぼ決まってたらしいよ。」
「差、あるなぁ……」


曜の話に驚きと落胆が隠せない千歌。

正直、これに関しては仕方ないとしか言いようがない。そもそも、廃校の背景が違うのだから。俺たちが直面しているのは統廃合で、これは私企業が経営合理化を図るための策である。一方音ノ木坂学院は都内の国立高校で、廃校は段階的なものに過ぎなかった。

と、ここで水が地に落ちる音と共に果南が話に入ってくる。


「仕方ないんじゃないかな?ここでスクールアイドルをやるってことは、それなりに大変ってこと。」
「それはそうだけど……!」
「うちだって、今日は予約ゼロ。東京みたいにほっといても人が集まる場所じゃないんだよ…ここは。」
「まっ、一理あるな。」


現実はそううまくいかない。

人間は、戦いに勝っても勝負に負けることは本当に多い。実際、サウザーとの戦いこそ俺たちが勝ち続けたりドローに持ち込んではいたが、勝負は負ける時もあった。その最たる物が東京での市街地破壊だ。あの時は稜のゴーストアイコンが、グレートアイを召喚して街を修復してくれたが、そのグレートアイはアイコンが散らばったことで召喚不可能となった。


「でもそれを言い訳にしちゃダメだと思う。」
「千歌……」
「それがわかって上でスクールアイドルやってるんだもん!」


ネガティブな意見は一蹴してガタンと立った千歌。すると何かを思い立ったのか、かき氷を自らに掻き込み始める————


「千歌ちゃん!一度に全部食べると……」
「10秒ほど時間差で来るぞ。」
「「??」」

そしてかき氷を全て平らげた千歌は連絡船の方へ走り出す。


「千歌ちゃん!?どこ行くの?」
「もうちょっと1人で考えてみるー!!————うっ!……うぅ〜」
「「じゅ、10秒後に……」」
「キタ………」


千歌を尻目に、曜と果南は俺を見て少し引く。すると曜が恐る恐る聞いてくる。


「あの……」
「なんでわかったかって?」
「……」コクリ

流石にこれ以上この件に関しては、隠し立て無用か————俺は淡々と話す。ポケットからムテキガシャットを取り出して。


「どうやら俺はこのガシャットと非常に相性がいい……いや、俺がコイツを強化してゆくほど俺の体にもその強化が現れるみたいだ。」
「じゃあ……才君の傷が治るのと同じ要領?」
「そう。少し前から未来が見えるようになってはいたが…今は約一時間ほど先の未来は見える。俺がそれを変えなきゃ、百発百中で起こる未来だ。」
「………なんか、もう才って人間じゃないんじゃ—————」
「それお前が言う?」

果南に人間辞めてるとは言われたくないが……今回ばかりは流石に、自分でも自覚したよ。

曜はさらに質問してくる。


「じゃあいずれ明日とか1週間後とか1年後の未来も見えるようになるの?」
「どうかな……けど、1年見れるようになるにはエグい時間がかかりそうだけどな。」
「そうなったらライブの結果も先に見れるんじゃ…」
「なぁに。そんなこと既に決まってるだろーが。」
「え?」

曜が神妙な顔をする。しかし俺は冷静に、当たり前のように答える。


「Aqoursは必ずラブライブに優勝するさ。そして———廃校の運命も変えられる……絶対に。俺にその未来は見えてるぜ。GMし始めた時からな。」
「才君……」
「ほんと千歌も千歌なら、才も才だね。ふふっ。」
「あんなバカチカと一緒にされてたまるか。」

少し懐かしみかつ呆れる果南の意見を、すぐさま一蹴しようとする。しかしこればっかりは、否定しきれない……千歌がAqoursのエンジンのようなものならば、俺はAqoursのハンドルのような存在だからな。




さて—————次の目的地に行こうか。






———————※———————




俺と曜は魁と合流して、果南の家から約束の場所でもある沼津バーガーにやってくる。

俺はみかんジュースと深海魚バーガー、曜は普通のバーガーを注文した。おそらく彼女がハンバーグが好きだから故の注文だろう。一方で魁はチーズバーガーとコーラを注文しているが、ノートパソコンに向かいっぱなしでコーラにしか手をつけられていない。


「なんかさっきから食ってばっかだな…まぁ、俺食べても断食でもあんま体重変わんねーし。」
「もうちょっとで来るはずなんだけどなぁ……でも、なんで急に会うとか言い出したの?」
「昔調べたことを思い出したんだが————


俺が事情を話そうとすると、魁が突如として会話に割り込んでくる。そして先ほどよりキーボードを叩く音がキツくなっているのがわかる。


「誰が来るか知らんが、俺が来る意味あったのか?こんな所を待ち場所にするからには相当ハイカラな人間っぽいし。明らかに重役とかじゃないだろ。」
「まぁ、そりゃそうだ。重役に突然高校生風情が会ってもらえる訳もねぇからな。」
「俺は見ての通り、株の取引と入学説明会の募集のダブルパンチで忙しいんだ……oh,What the f○○k!」
「いやFワードやめろ。」


Fワードと共にキーボードに台パンする魁。たまに魁や鞠莉とバトロワ(For○○iteとか)するんだが、するたびに一回は台パンかFワードを使ってくる。まぁ、外人も下品な方が多いことで。



そう考え込んでいると——————4人掛けのテーブルの空席が、埋まる。


帽子を被った来訪者は、魁が食べられずに置いていたバーガーを一口食う。


「うーん、この味も好きだけどやっぱり僕はビーフバーガーの方が好きかなぁ。」
「おい誰だよ。俺のチーズバーガー食ってんの、俺まだ食べて———————」


魁はポーズされたかのように、停止する。

帽子を脱ぐ……サラッとした黒髪がちょうど肩までかかり、そしてキリッとしたパープルアイが俺の方を向く。

「久しぶりだね、曜ちゃん!才君!」
「相変わらずお前は飄々としてんな———月。」

そう—————帽子で一瞬美男子に見えたこのボクっ娘は……渡辺月。彼女こそ、このゲームを一気に変える……まさにGAME CHANGERだ。

と、先ほどまで集中していた作業を完全停止させ、動きもポーズされている魁がようやくリスタートする。


「え……ま、曜、この……」
「あ、そうか。魁君は知らなかったっけ?この娘は私の従兄弟の月ちゃん!」
「渡辺月です!ヨーロシク〜!」


改めて説明しよう。この渡辺月は曜の従兄弟であり、俺の幼馴染でもある娘————コイツとは曜を介して知り合ったので、おそらく曜以外のAqoursメンバーの誰もコイツのことは知らない。

余談だが月と曜、どちらも父方のお祖父さんがつけた名前だそうな。この名前の対称性は演出家として秀逸と言わざるを得ない。太陽と月、そしてその名にふさわしく育った。

月もまた曜と負けず劣らず、優秀な能力を持っている。比較対象を持った今日では、曜・月・俺で遊んでいる時は本当にハイレベルな遊びをしていたなと思う。


さて話に戻る—————すると、ついに時限爆弾が爆発したかのように魁が大声で初対面の月に言い放つ。


「Sposami !!!!!」







イタリア語が店内に響いた。




















 
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