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イベリス

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第百二十八話 酒も飲んでその二

 スーパー銭湯で話したことも話していかったこともだ。
 全部言った、その後でだった。
 遂に泣いてだ、こう言った。
「やっぱりね」
「辛い?」
「うん、振られていなかったけれど」
 それでもというのだ。
「失恋したから」
「そうよね、だからね」
「それでね」
「今こうしてね」
「言うことね」
「そうよ、泣いてもいいって言ったでしょ」
 愛は飲みつつ言った。
「だからね」
「今泣いてるけれど」
「それでもいいの、もっと泣いてもね」
「いいのね」
「いいわよ」
 実際にというのだ。
「別にね」
「そうなの」
「もう泣いて泣いて」
 そうしてというのだ。
「涙でも吐き出すのよ」
「涙でもなの」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうもしてね」
「忘れるの」
「兎に角忘れて」
 そしてというのだ。
「また前にね」
「進むことね」
「そうよ」
 まさにというのだ。
「そうすることよ」
「泣いてもいいって言われたけれど」
「ここにいるのは二人だけよ」
 愛は笑ってこうも言った。
「だから幾ら泣いてもね」
「いいのね」
「私がいるだけだしね、それに私ならいいでしょ」
「お姉ちゃんだと」
 愛を見てこう返した。
「お父さんお母さんもだけれど」
「信頼出来る?」
「うん」
 泣きながらもそうだと答えた。
「子供の頃から何かと助けてもらってるし」
「従姉妹同士でね」
「いつもだし。お姉ちゃんに悪いことされたことは」
 それはというと。
「記憶にないし」
「そう言われるとね」
 愛は少し苦笑いで応えた。
「子供の頃結構意地悪したでしょ」
「そうだった?」
「いや、別にね」
 愛にそれはと返した。
「私はね」
「そういうことなかった?」
「そう思うけれど」
「そうだったかしら、ただ私のことはなのね」
「一緒にいてくれたら安心出来るし」
 それにというのだ。
「こうしたお話もね」
「出来るのね」
「そうなの、だから」
 それでというのだ。
「泣いてもいいのね」
「そうよ、どんどん泣いてね」
「愚痴ってもいい?」
「いいわよ、ただアドバイスはね」
「出来ないの」
「聞くだけしか出来ないかもね」
「それでもいいから」
 飲みつつ従姉に言った。 
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