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イベリス

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第百二十七話 告白その一

                第百二十七話  告白
 その日が来た、するとだった。
 咲は学校でいそいそとした、それで放課後になるのを待ったが。
「あれっ、何かね」
「咲っちそわそわしてない?」
「やたら時間見て」
「それで気にしているみたいな」
「何でもないから」
 クラスメイトに言われて咄嗟に誤魔化した。
「別にね」
「そうなの?」
「だったらいいけれどね」
「何か早く学校終わって欲しいみたいな」
「すぐに何処か行きたいみたいな」
「そんな風だけれど」
「そんなのじゃないから」
 その通りだがそれは隠した。
「気にしないで」
「だったらいいけれどね」
「何もないならね」
「それならね」
「今日は部活もないし」
 このことも確認済である。
「よかったわ」
「いや、いつも部活楽しそうに行くのに」
「今日は違うの?」
「咲っち漫画好きなのに」
「その咲っちが漫画研究会行かないって」
「妙よね」
「そうよね」
「そんな日もあるの」
 ここでも誤魔化した。
「だからね」
「特になの」
「気にしなくていいの」
「そうなの」
「そう、だから」
 それでというのだった。
「別にね」
「まあね」
「それならいいけれどね」
「何もなかったら」
「それなら」
「そういうことでね」
 こう言って何とか誤魔化してだった。
 咲は放課後を待った、そして。
 放課後になるとだ、飛んでクラスを出ようとした。
「じゃあね」
「何処行くの?」
「アルバイト?」
「そっちに行くの?」
「渋谷に行くから」
 嘘は言いたくなかったのでこう言った。
「それでね」
「だからなの」
「咲っちのバイト先渋谷だし」
「それでなのね」
「渋谷に行くから」
 アルバイトが休みなのは隠して言った。
「そうするから」
「そうなのね」
「じゃあ頑張ってね」
「アルバイトの方ね」
「今から」
「それでね」
 そのうえでと言うのだった。
「すぐに行くから」
「うん、じゃあね」
「行ってらっしゃい」
「何か気になるけれど」
「やけにそわそわして」
「地に足がついてない感じだけれど」
「まあそれはね」
 今も嘘を吐かず言った。 
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